詞花和歌集

Shika wakashū

作者複数 Various

詞花和歌集卷第六
別

172

民部内侍

參議廣業たえて後伊豫のかみにてくだりけるにつかはしける

都にて覺束なさを習はずば旅ねをいかにおもひやらまし
173

和泉式部

道貞にわすられて後みちの國のかみにてくだりけるにつかはしける

諸共にたゝまし物をみちのくの衣の關をよそにきくかな
174

源俊頼朝臣

左京大夫顯輔加賀守にて下り侍りけるにいひ遣はしける

喜びをくはへて急ぐ旅なれば思へどえこそ止めざりけれ
175

藤原輔尹朝臣

橘則光の朝臣みちの國のかみにて下り侍りけるに餞志侍るとてよめる

止りゐてまつべき身こそ老いにけれ哀れ別は人の爲かは
176

藤原道經

もの申しける女の齋宮の下り給ひけるともにまかりけるにいひつかはしける

かへり來む程をも志らで悲しきはよを長月の別なりけり
177

津守國基

大納言經信太宰帥にて下りけるに川尻にまかりあひてよめる

六年にて君は來まさむ住吉のまつべき身社痛く老いぬれ
178

一條院皇后宮

つねに侍りける女房の日向の國へ下り侍りけるに餞志給ふとてよませ給ひける

茜さす日に向ひても思ひ出よ都は晴れぬながめすらむと
179

法橋有禪

弟子に侍りけるわらはの親にぐして人の國へまかりけるにさうぞくつかはすとてよめる

別路の草葉をわけむ旅衣たつよりかねてぬるゝそでかな
180

玄範法師

月ごろ人のもとにやどりけるがかへりける日あるじにあひてよめる

また來むと誰にもえこそいひおかね心に叶ふ命ならねば
181

寂照法師

もろこしへ渡り侍りけるを人のいさめ侍りければよめる

留らむ留らじとも思ほえずいづくもつひの住家ならねば
182

僧都清胤

人のもとに日ごろ侍りてかへる日あるじにあひていひける

二つなき心を君にとゞめおきて我さへ我に別れぬるかな
183

太皇太后宮甲斐

大納言經信太宰帥にて下り侍りけるに俊頼の朝臣まかりければいひつかはしける

暮れば先そなたをのみぞ詠むべき出でむ日毎に思おこせよ
184

橘爲仲の朝臣みちの國の守にてくだりけるに太皇太后宮の大盤所よりとて誰とはなくて

東路のはるけき道を行き廻りいつかとくべき下紐のせき
185

權僧正永縁

修理大夫顯季太宰大貳にて下らむとし侍りけるに馬にぐしてつかはしける

立別れ遙にいきの松なればこひしかるべき千代の蔭かな
186

くゞつなびき

あづまへまかりける人の宿りて侍りけるがあかつきに立ちけるによめる

はかなくも今朝の別の惜しき哉いつかは人を長らへて見む
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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