續拾遺和歌集

Shoku Shūi wakashū

作者複数 Various

續拾遺和歌集卷第十
賀歌

726

太上天皇

建治二年八月龜山殿にて、はじめて松色浮池といへる題を講ぜられ侍りしついでに

よろづ代と龜の尾山の松かげを移してすめる宿の池みづ
727

攝政前太政大臣

池水に松の千とせをうつしても君に二たび逢ふが嬉しさ
728

冷泉太政大臣

寳治二年鳥羽殿にて、池上松といへる心を

行末をかぎらぬ松の世々をへてかげ長閑なる庭の池みづ
729

前大納言爲家

池水のたえず澄べき御代なれば松の千年もとはに逢見む
730

徳大寺入道前太政大臣

同年正月松色春久と云ふ事を講ぜられける時序を奉りて

千枝にさす松の緑は君が代に逢ふべき春の數にぞ有ける
731

前大納言顯朝

正元元年[7]月7西園寺の一切經供養に行幸し侍りけるに春宮中宮おなじく行啓ありて次の日人々翫花と云ふ心をつかうまつりけるに

例なき數多御幸の今日に逢ひて花は八千世の色に出づ覽
732

山階入道左大臣

弘長三年二月龜山殿に行幸ありて花契遐年と云ふ事を講ぜられけるに序を奉りて

今年より御幸にちぎる山ざくら思ふも久しよろづ代の春
733

冷泉太政大臣

かめのをの山のかひある山櫻萬代ふべきためしとぞみる
734

權大納言經任

名にたてゝ萬代ふべき龜のをの山の櫻はけふ咲きにけり
735

萬里小路右大臣于時右大將

建長六年三首の歌合に、櫻を

待たれこしみかさの山の櫻花久しき春のかざしにぞさす
736

富家入道前關白太政大臣

嘉承二年鳥羽殿にて、池上花といへる事を

千世をへて澄べき池の水なれば映れる花の陰ものどけし
737

常磐井入道前太政大臣

寳治百首の歌奉りける時、松上藤

咲きつゞく藤榮えむと春日山松にぞ君をいはひかけつる
738

兵部卿隆親

文永八年七月院忍びて鷲尾に御幸し侍りける時女房の中より、君すめば心ありてや末遠く千世まつむしの聲聞ゆらむと侍りける返事に

昔より君がためなる宿なれば我も千とせをまつ虫のこゑ
739

前大納言爲氏

弘長三年九月十三夜内裏の十首の歌奉りし時、月前祝

君が住むおなじ雲居の月なれば空にかはらぬ萬代のかげ
740

山階入道左大臣

家に十首の歌よみ侍りけるに、秋祝

雲の上に影をならべて久方の月ぞ千とせの秋もすむべき
741

權中納言俊忠

寛治八年鳥羽殿にて翫池上月といへる心を

のどかなる光をそへて池水に千世もすむべき秋の夜の月
742

正三位經朝

寳治元年十首の歌合に、海邊月

わかの浦や昔にかへる波のうへに光あまねき秋の夜の月
743

從二位行家

同二年鳥羽殿の五首の歌に、月前祝

君が世に光をそへよ末とほき千とせの秋の山の端のつき
744

左大臣

月與秋久と云ふ題を講ぜられ侍りし時

いく秋とかぎらぬ月の光こそ君が御影のためしなりけれ
745

前中納言資宣

文永五年八月十五夜内裏の歌合に、田家見月

民やすき田面のいほの秋風にいなばの雲は月もさはらず
746

宇治入道前關白太政大臣

從一位倫子の七十賀によみ侍りける

君が爲千世を重ねてきくの花ゆく末遠くけふこそはみれ
747

式子内親王

百首の歌の中に

結ぶべき末もかぎらじ君が世に露のつもれる菊の下みづ
748

太宰權帥爲經

菊花秋久と云ふ事を

いか計老いせぬ秋をかさぬらむ千世のかざしの白菊の花
749

前大僧正慈鎭

正治百首の歌に、祝

千とせまで積れる年の志るしとて雪をかさぬる鶴の毛衣
750

法成寺入道前攝政太政大臣

題志らず

葦田鶴齡しあらば君が世の千年の數はかぞへとりてむ
751

常磐井入道前太政大臣

寄海祝といへる心を

海原や風をさまれる波のうへに思ふもとほし御代の行末
752

後花山院入道前太政大臣

文永三年三月、續古今集の竟宴の歌

數々にみがく玉藻のあらはれて御代靜かなるわかの浦浪
753

前中納言定家

建仁三年十一月和歌所にて釋阿の九十賀たまはせける時よみ侍りける

君にけふ十年の數をゆづり置きて九かへりの萬代やへむ
754

前中納言範光

限なきはこやの山のかげなれば千年の坂も猶こえぬべし
755

大藏卿有家

老らくのさかゆく道を照すなりはこやの山の峯の月かげ
756

冷泉太政大臣于時内大臣左大將

建長五年七月三首の歌に

かげ靡く光は身にもあまるらむのぼる三笠の山の端の月
757

權大納言長家

祝の心を

大原や小鹽の松ぞ君が代のいつも變らぬためしなるべき
758

參議雅經于時左中將

建暦二年とよのみそぎ二たび行はれける次の日前中納言定家のもとに遣しける

君待ちて二たびすめる河水に千世そふ豐の御祓をぞ見し
759

兵部卿隆親

今上の御元服の時大納言に歸りなりて上壽つとめ侍りて思ひつゞけ侍りける

年たけて思ひもよらず君が代に又仕ふべき道のありとは
760

前中納言資實

建久九年大甞會の主基方の御屏風に備中國神島有神祠所を

神島の波の白ゆふかけまくも畏き御代のためしとぞみる
761

前參議爲長

仁治三年大甞會の悠紀方の風俗歌、朝日山

あきらけき御代の始の朝日山あまてるかみの光さしそふ
762

前中納言家光

嘉禎元年大甞會の悠紀方巳日の樂破近江國眞木村

常磐なる影は變らじ眞木の村あまの露霜いくよふるとも
763

民部卿經光

文應元年大甞會の悠紀方の御屏風の歌、玉井

凉しさに千とせをかねて結ぶかな玉井の水の松の下かげ
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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