拾遺和歌集 (Shūi wakashū) — 拾遺和歌集卷第六 別 作者複数 (Various) 1005 Shūi wakashū 拾遺和歌集 Various 作者複数 Heian Period 中古 11th century 11世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1005 しゅういわかしゅう Shūi wakashū 拾遺和歌集 しゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
Titles ›
拾遺和歌集 › 拾遺和歌集卷第六 別 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
拾遺和歌集 Shūi wakashū
作者複数 Various
拾遺和歌集卷第六 別
301
よみ人志らず
春ものへまかりける人に曉にいでたちける所にてとまり侍りける人のよみ侍りける
春霞たつ曉を見るからにこゝろぞそらになりぬべらなる
302
題志らず
櫻花露にぬれたるかほ見ればなきてわかれし人ぞ戀しき
303
ちる花は道みえぬまで埋まなむ別るゝ人も立ちや止ると
304
曾禰好忠
ものへまかりける人のもとに人々まかりてかはらけとりて
鴈がねの歸るをきけば別路は雲居はるかに思ふばかりぞ
305
御製
天歴の御時小貳の命婦豊前に罷侍ける時大 盤所にて餞せさせ給ふに被け物給ふとて
夏衣たちわかるべき今宵こそひとへに惜しき物添ひぬれ
306
よみ人志らず
題志らず
忘るなよ別路におふる葛のはの秋風ふけばいま歸りこむ
307
別てふことは誰かは始めけむ苦しき物としらずやありけむ
308
時しもあれ秋しも人の別るればいとゞ袂ぞ露けかりける
309
御製
天歴の御時九月十五日齋宮下り侍りけるに樂子天歴皇女母計子中納言庶明女
君が世を長月とだに
[1]思はずば 2 いかに別のかなしからまし
310
忠見
十月ばかりにものへまかりける人に
露にだにあてじと思し人しもぞ時雨ふる頃旅に行きける
311
能宣
ものへまかりける人に馬のはなむけし侍りて扇つかはしける
別路をへだつる雲のためにこそ扇の風をやらまほしけれ
312
讀人志らず
題志らず
別れてはあはむあはじぞ定めなき此夕ぐれや限なるらむ
313
別路は戀しき人の文なれややらでのみ社みまくほしけれ
314
貫之
ものへまかりける人のおくり、關山までし侍るとて
別行くけふは惑ひぬ逢坂は歸りこむ日の名に社ありけれ
315
能宣
いせよりのぼり侍りけるにしのびて物いひ侍りける女のあづまへくだりけるが逢坂にまかりあひて侍りけるに遣しける
行末の命もしらぬわかれぢはけふ逢坂やかぎりなるらむ
316
赤染衛門
大江爲基あづまへまかり下りけるに扇を遣はすとて
惜む共なき物故にしかすがの渡りときけばたゞならぬ哉
317
源のよしたねが三河介にて侍りけるむすめのもとに母のよみて遣はしける
諸共にゆかぬ三河の八橋はこひしとのみやおもひ渡らむ
318
源順
兼盛駿河のかみにて下り侍りける馬のはなむけし侍るとて
別路は渡せる橋もなき物をいかでかつねにこひ渡るべき
319
貫之
信濃國に下りける人のもとに遣はしける
月かげはあかず見るとも更科の山のふもとに長居すな君
320
天歴御製
共政朝臣肥後守にて下り侍けるに妻のひぜんが下りけるに筑紫櫛御ぞなど給ふとて
別るれば心をのみぞ筑紫櫛さしてみるべき程をしらねば
321
よみ人しらず
天歴の御時御めのと肥前がいで羽の國に下り侍りけるにせん給ひけるに藤壷よりさうぞく給ひけるに添へられたりける
行く人をとゞめがたみの唐衣たつより袖の露けかるらむ
322
御乳母少納言
同じ御乳母のせんに殿上のをのこども女房など別をしみ侍りけるに
惜むともかたしや別れ心なる泪をだにもえやはとゞむる
323
女藏人參河
東路の草葉をわけむひとよりも後るゝ袖ぞまづは露けき
324
よみ人志らず
題志らず
別るればまづ泪こそさきにたて爭で後るゝ袖のぬるらむ
325
別るゝを惜しとぞ思ひつるぎばの身をより碎く心地のみして
326
三條太皇太后宮
源弘景ものへまかりけるにさうぞく給ふとて
旅人のつゆ拂ふべき唐衣まだきもそでのぬれにけるかな
327
貫之
橘公頼帥になりてまかり下りける時利貞が繼母内侍のすけのうまのはなむけし侍りけるにさうぞくにそへて遣はしける
あまたには縫ひ重ねゝど唐衣思ふ心はちへにぞありける
328
題志らず
遠く行く人のためには我袖の涙のたまもをしからなくに
329
よみ人志らず
惜むとて止る事こそ難からめわが衣手をほしてだにゆけ
330
貫之
田舍へまかりける時
糸による物ならなくに別路は心ぼそくもおもほゆるかな
331
戒秀法師
みちの國の守これともが罷り下りけるに彈正のみこのかうやく遣はしけるに
龜山にいく藥のみありければとゞむるかたもなき別かな
332
藤原清正
藤原の雅正が豐前守に侍りける時爲頼が覺束なしとて下り侍りけるに馬のはなむけし侍るとて
思ふ人あるかたへゆく別路ををしむ心ぞかつはわりなき
333
元輔
肥後守にて清原元輔くだり侍りけるに源滿仲せんし侍りけるにかはらけとりて
いかばかり思ふらむとかおもふらむ老て別るゝ遠き別を
334
源滿仲朝臣
返し
君はよし行末遠し止る身のまつ程いかゞあらむとすらむ
335
よみ人志らず
題志らず
後れゐてわが戀をれば白雲のたなびく山をけふや越ゆ覽
336
右衛門源兼澄 女
命をぞいかならむとは思來しいきて別るゝ世に社ありけれ
337
橘倚平
筑紫へまかりける人のもとにいひ遣しける
昔見しいきの松原こととはゞ忘れぬ人もありとこたへよ
338
藤原爲頼
陸奧守にて下り侍りける時三條太政大臣餞し侍りければよみ侍りける
たけ隈の松を見つゝや慰めむきみが千年の陰にならひて
339
平兼盛
みちの國の白河の關越え侍りけるに
便あらばいかで都へつげやらむけふ白河の關はこえぬと
340
右衛門督公任
實方朝臣みちのくにへ下り侍りけるにしたぐら遣はすとて
東路の木の下くらくなりゆかば都のつきを戀ざらめやは
341
よみ人志らず
題志らず
旅行かば袖社ぬるれもる山の雫にのみはおほせざらなむ
342
兼盛
恒徳公の家の障子に
汐みてる程に行きかふ旅人や濱名のはしと名け初めけむ
343
貫之
たみのゝ 島のほとりにて雨にあひて
雨により田簔の島に分行けど名には隱れぬ物にぞ有ける
344
伊勢
難波にはらへし侍りてまかり歸りけるあかつきにもりの侍りけるに時鳥のなき侍りけるを聞きて
時鳥ねぐらながらのこゑきけばくさの枕ぞ露けかりける
345
能宣
物へまかりける道にて雁のなくをきゝて
草枕我のみならず雁がねもたびの空にぞなきわたりける
346
よみ人志らず
題志らず
君をのみ戀ひつゝ旅のくさまくら露しげからぬ曉ぞなき
347
平兼盛
源公貞が大隈へまかり下りけるにせきとの院にて月のあかゝりけるに別をしみ侍りて
はるかなる旅の空にも後れねば羨ましきは秋のよのつき
348
能宣
秋旅にまかりけるにいなみのに宿りて
女郎花我に宿かせいなみのゝ否といふ共こゝを過ぎめや
349
重之
筑紫へ下りける道にて
舟路には草の枕も結ばねばおきながらこそ夢も見えけれ
350
弓削よしとき
帥伊周つくしへまかりけるにかはじりはなれ侍りけるによみ侍りける
思ひ出もなき故郷の山なれどかくれゆくはた哀なりけり
351
贈太政大臣菅
流され侍りて後いひおこせて侍りける
君がすむ宿の梢のゆく/\と隱るゝまでに歸りみしはや
352
かなをか金岡仁明天皇御時人也承和四年九月五圖御所繪
かさの金岡が唐土にわたりて侍りけるときめの長歌よみて侍りける返し
浪の上に見えし小島の島がくれ行く空もなし君に別れて
353
柿本人麿
もろこしにて
あまとぶや鴈の使にいつしかもならの都に言傳てやらむ
人丸入唐事此歌外無所見。但上古事雖 可任本。
2 [1] Shinpen kokka Taikan (Tokyo: Kadokawa Shoten, 1983, vol. 1) reads 思はずは.