しかし階級闘争が賃銀の値上を越えて、その本体たる利潤の争奪戦にまで向上する日が遠からず到来するにせよ、そうしてあるいはそれが露西亜の過激派のように、労働階級の勝利に帰する日があるにせよ、私はそれを決して望ましい事だとは考えないのです。それは反動の社会です。極端なる資本家階級の横暴に代えるに、極端なる労働階級の横暴を以てする社会です。私の理想はそういう衡平(こうへい)を失した顛倒(てんとう)生活の外にあります。私がどうせ一度来る階級闘争なら、それをなるべく早く穏和な方法で通過させたいと望むのはこれがためです。