後拾遺和歌集 (Goshūi wakashū) — 後拾遺和歌集第十二 戀二 作者複数 (Various) 1086 Goshūi wakashū 後拾遺和歌集 Various 作者複数 Heian Period 中古 11th century 11世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1086 ごしゅういわかしゅう Goshūi wakashū 後拾遺和歌集 ごしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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後拾遺和歌集 Goshūi wakashū
作者複数 Various
後拾遺和歌集第十二 戀二
664
祭主輔親
女にあひて又の日遣はしける
程もなくこふる心は何なれや志らでだに社年はへにしか
665
源頼綱朝臣
實範の朝臣のむすめのもとに通ひそめてあしたにつかはしける
古の人さへ今朝はつらき哉明くればなどか歸り初めけむ
666
永源法師
惟任の朝臣にかはりてよめる
夜をこめてかへる空こそなかりけれ羨ましきは有明の月
667
藤原隆方朝臣
平行親の朝臣のむすめのもとにまかりそめて又のあしたによめる
くるゝまは千歳を過す心地してまつは誠に
[1]久しかりかり 12
668
源定季
題志らず
けふよりはとく呉竹のふし毎によは長かれと思ほゆる哉
669
少將藤原義孝
女の許より歸りて遣はしける
君がため惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひける哉
670
伊勢大輔
人の許に通ふ人に代りて遣しける
けふくるゝ程待つだにも久しきに爭で心を懸てすぎけむ
671
藤原道信朝臣
女のもとより雪ふり侍りける日かへりてつかはしける
歸るさの道やは變るかはらねど解くるに惑ふ今朝の沫雪
672
明けぬればくるゝ物とは志り乍猶恨めしき朝ぼらけかな
673
ある人の許にとまりて侍りけるにひるはさらに見ぐるしとていで侍らざりければよめる
ちかの浦に浪寄せ懸くる心地して干るま無ても暮しつる哉
674
永源法師
題志らず
逢見ての後こそ戀はまさりけれつれなき人を今は怨みじ
675
西宮前左大臣
女につかはしける
現にてゆめばかりなるあふことを現ばかりの夢になさばや
676
藤原道信朝臣
題志らず
たまさかにゆき逢坂の關守は夜を通さぬぞ侘しかりける
677
清原元輔
知る人もなくてやみぬる逢事をいかで涙の袖にもるらむ
678
相模
男のまてといひおこせて侍りける返事によみ侍りける
頼むるを頼むべきには非ね共待つとは無て待れもやせむ
679
時々物いふ男くれゆく計りといひて侍りければよめる
詠めつゝ事ありがほに暮しても必夢にみえばこそあらめ
680
赤染衛門
なかの關白少將に侍りける時はらからなる人に物いひわたり侍りけり。たのめてこざりけるつとめて女にかはりてよめる
息らはでねなまし物をさ夜更けて傾ぶく迄の月を見し哉
681
和泉式部
人のたのめてこず侍りければつとめてつかはしける
おき乍明しつるかなともねせぬ鴨の上毛の霜ならなくに
682
大輔命婦
越前守景理夕さり來むといひて音せざりければよめる
夕霧を淺茅が上とみしものを袖におきても明しつるかな
683
藤原隆經朝臣
女のもとにつかはしける
如何にせむなあ生憎の春の日や夜半の景色の斯らましかば
684
童木
かへし
うば玉の夜半の景色はさもあらばあれ人の心を春日共がな
685
源重之
題志らず
淀野へとみ秣山に行く人も暮にはたゞにかへるものかは
686
源師賢朝臣
女の許にまかりけるにかくれてあはざりければかへりてつかはしける
歸りしは我身一つと思ひしを涙さへこそとまらざりけれ
687
讀人志らず
左大將朝光女の許に罷れりけるに、なやまし、歸りねといひ侍りければかへりてのあした女の許よりつかはしける
天雲のかへるばかりのむら雨に所せきまでぬれし袖かな
688
一宮紀伊
ものいひ侍りける男のひるはかよひつゝ夜とまらざりければよめる
我戀は天の原なる月なれやくるれば出づる影をのみ見る
689
讀人志らず
大貳高遠物いひ侍りける女の家の傍に又忍びて物いふ女の家侍りけり。かどのまへより忍びて渡り侍りけるをいかでか聞きけむ、女の許より遣はしける
過ぎてゆく月をも何に怨むべきまづ我身こそ哀なりけれ
690
大貳高遠
かへし
杉立てる門ならませば訪てまし心の待つは如何志るべき
691
和泉式部
題志らず
津國のこやとも人をいふべきに隙こそなけれ芦の八重葺
692
高階章行朝臣女
兼仲の朝臣のすみ侍りける時忍びたる人かず/\にあふ事難く侍りければよめる
人めのみ繁きみ山の青つゞらくるしき世をも思侘びぬる
693
讀人志らず
題志らず
こぬもうくくるも苦しき青葛籠いかなる方に思絶えなむ
694
讀人志らず
人の娘の親にも志らせで物いふ人侍りけるを親きゝつけていひ侍りければ男まうできたりけれど歸りにけりときゝて女にかはりて遣はしける
志るらめや身こそ人めを憚りの關に涙はとまらざりけり
695
相模
忍びて物思ひ侍りける頃色にや志るかりけむ、打とけたる人、などか物むづかしげにといひ侍りければ心の内になむ思ひける
諸共にいつかとくべきあふ事のかた結びなる夜はの下紐
696
赤染衞門
物いひわたる男のふちは瀬になどいヘりける返事によめる
淵やさは瀬にはなりける飛鳥川淺きを深くなす世也せば
697
讀人志らず
道濟が田舍へまかりくだりけるに女のもとよりつかはしける
逢見てはありぬべしやと試みる程は苦しき物にぞ有ける
698
右大臣
心ならぬ事や侍りけむ、かたらひける女の許にまかりて枕にかきつけ侍りける
我心心にもあらでつらからば夜がれむ床の形見ともせよ
699
讀人志らず
男のこむといひ侍りけるを待ちわづらひてゆふけをとはせけるによにこじとつげ侍りければ心ぼそくおもひてよみ侍りける
來ぬまでもまたまし物を中々に頼む方なき此ゆふけかな
700
大納言道綱母
入道攝政九月ばかりの事にや、よがれして侍りけるつとめてふみおこせて侍りける返事につかはしける
消歸り露もまだひぬ袖の上に今朝は時雨るゝ空もわりなし
701
馬内侍
なかの關白女の許より曉に歸りて内にもいらでとに居ながら歸侍りければよめる
あかつきの露は枕におきけるを草葉の上となに思ひけむ
702
相模
あすの程にまでこむと言ひたるをとこに
昨日けふ歎く計の心地せばあすに我身やあはじとすらむ
703
和泉式部
雨のいたうふる日涙の雨の袖になどいひたる人に
見し人に忘られて降る袖に社身を志る雨はいつもをやまね
704
讀人志らず
輔親物いひ侍りける女の許に、よべは雨の降りしかばはゞかりてなどいへりける返事に、とくやみにしものをとて女のつかはしける
忘らるゝ身を知る雨はふらねども袖計こそ乾かざりけれ
705
藤原能通朝臣
忍びて通ふ女のまたこと人にものいふときゝてつかはしける
こえにける浪をば志らで末の松ちよ迄とのみ頼みける哉
706
藤原實方朝臣
かたらひ侍りける女のこと人にものいふときゝてつかはしける
浦風になびきにけりな里のあまのたくもの烟心よわさは
707
清少納言人に志らせで絶えぬ中にて侍りけるにひさしう音づれ侍らざりければよそ/\にて物などいひ侍りけり。女さし寄りて忘れにけりなといひ侍りければよめる
忘れずよまた變らずよ瓦屋の志たゝく烟志たむせびつゝ
708
讀人志らず
をとこかれ%\になり侍りける頃よめる
風の音の身にしむ計聞ゆるはわが身に秋や近くなるらむ
709
大貳三位
かれ%\なるをとこのおぼつかなくなどいひたりけるによめる
有馬山ゐなのさゝ原風吹けばいでそよ人を忘れやはする
710
赤染衛門
右大將道綱ひさしうおとせでなどうらみぬぞといひて侍りければむすめにかはりて
恨む共今はみえじと思ふこそせめてつらさの餘り也けれ
711
和泉式部
夜毎にこむといひて夜がれし侍りけるをとこのもとにつかはしける
今宵さへあらば斯こそ思ほえめけふ暮れぬ間の命共がな
712
赤染衛門
をとこうらむることやありけむ、今日をかぎりにて又はさらに音せじといひていで侍りにけれどいかにおもひけむ、ひるつかたおとづれて侍りけるによめる
あすならば忘らるゝ身に成ぬべしけふを過さぬ命共がな
713
藤原長能
題志らず
厭ふとは志らぬにあらず知乍ら心にもあらぬ心なりけり
714
後冷泉院御製
七月七日二條院の御方に奉らせたまひける
逢事は棚機つめにかしつれど渡らまほしきかさゝぎの橋
12 [1] Shinpen kokka taikan (Tokyo: Kadokawa Shonten, 1983, vol. 1) reads 久しかりけり.