新勅撰和歌集 (Shin Chokusen wakashū) — 新勅撰和歌集卷第十九 雜歌四 作者複数 (Various) 13th Century Shin Chokusen wakashū 新勅撰和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 13th century 13世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1232 しんちょくせんわかしゅう Shin Chokusen wakashū 新勅撰和歌集 しんちょくせんわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
Titles ›
新勅撰和歌集 › 新勅撰和歌集卷第十九 雜歌四 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
新勅撰和歌集 Shin Chokusen wakashū
作者複数 Various
新勅撰和歌集卷第十九 雜歌四
1267
中納言兼輔
亭子院大内山におはしましける時勅使にて參りて侍りけるに麓より雲の立ちのぼりけるをみてよみ侍りける
志ら雲の九重にたつ峯なれば大内山といふにぞありける
1268
讀人志らず
題志らず
山城のくせのさぎ坂神代より春はもえつゝ秋はちりけり
1269
久邇の都のあれにけるを見てよみ侍りける
みかの原くにの都はあれにけり大宮人のうつりいぬれば
1270
皇太后宮大夫俊成
春日の社に百首の歌よみて奉りけるに、橋の歌
都いでゝ伏見を越ゆる明方はまづうちわたすひつ河の橋
1271
内大臣
百首の歌よみ侍りけるに、早秋の歌
吹きそむる音だにかはれ山城のときはの森の秋のはつ風
1272
僧正行意
建保四年百首の歌奉りける時
山城のときはの森の夕時雨そめぬみどりに秋ぞ暮れぬる
1273
寂身法師
名所の歌よみ侍りけるに
志た草もいかでか色の變るらむ染めぬときはの松の雫に
1274
眞昭法師
飛鳥河かはせの霧も晴れやらでいたづらに吹く秋の夕風
1275
讀人志らず
題志らず
世中はなど大和なるみなれ河見馴れそめてぞあるべかりける
1276
中納言家持
千鳥なく佐保の川瀬の清きせを駒うち渡しいつか通はむ
1277
入道前太政大臣
春は花ふゆは雪とて志ら雲の絶えずたなびくみ吉野の山
1278
正三位家隆
いにしへの幾世の花に春くれて奈良の都の移ろひぬらむ
1279
源家長朝臣
前關白の家の歌合に名所月
何處にもふりさけ今や三笠山もろこしかけておつる月影
1280
後京極攝政前太政大臣
百首の歌よみ侍りける
久かたの雲ゐに見えしいこま山春は霞のふもとなりけり
1281
讀人志らず
題志らず
いとまあらば拾ひに行かむ住の江の岸によるてふ戀忘貝
1282
和泉式部
住吉の有明の月をながむればとほざかりにし影ぞ戀しき
1283
一條右大臣恒
亭子院の御供に仕うまつりて住吉の濱にてよめる
住吉の浦に吹きあぐる白浪ぞ汐滿つときの花と咲きける
1284
太宰權帥公頼
同じみゆきに難波の浦にてよみ侍りける
難波潟志ほ滿つ濱の夕暮はつまなきたづの聲のみぞする
1285
讀人志らず
謙徳公に遣しける
思ふこと昔ながらの
[19]はし橋 19 ふりぬる身こそ悲しかりけれ
1286
正三位家隆
名所の歌奉りける時、あしの屋
短夜のまだふしなれぬ蘆の屋のつまも顯はに明くる東雲
1287
藤原行能朝臣
布引瀧をよめる
布引の瀧の白糸わくらばにとひくる人もいくよへぬらむ
1288
入道前太政大臣
百首の歌に紅葉をよみ侍りける
下葉まで心のまゝにそめてけり時雨にあまる神なびの森
1289
安貴王
伊勢國に御幸の時よみ侍りける
伊勢の海おきつ白浪花にがも包みていもが家づとにせむ
1290
正三位家隆
戀の歌よみ侍りける中に
いせの海の蜑のまてがたまて暫し恨に浪の隙はなくとも
1291
大藏卿有家
名所の歌奉りけるに、鈴鹿山
秋深くなりにけらしな鈴鹿山紅葉は雨と降りまがひつゝ
1292
家長朝臣
春浦月といへる心をよみ侍りける
梓弓いちしの浦の春の月海士のたくなはよるも引くなり
1293
中務
志かすがのわたりにてよみ侍りける
ゆけばあり行ねば苦し志かすがの渡りにきてぞ思たゆたふ
1294
正三位家隆
前關白の家の歌合に名所月をよみ侍りける
光そふ木のまの月におどろけば秋もなかばのさやの中山
1295
藤原光俊朝臣
すみわたるひかりも清し白妙の濱名のはしの秋のよの月
1296
讀人志らず
題志らず
戀しくば濱名の橋を出でゝ見よ下ゆく水に影やとまると
1297
大中臣能宣朝臣
平兼盛するがのかみになりて下り侍りける時餞し侍るとてよめる
ゆき歸り手向するがの富士の山煙も立たぬ君を待つらし
1298
仁和寺二品法親王守覺
家の五十首の歌
富士の嶺はとはでも空に知られ鳬雲より上にみゆる白雪
1299
從三位範宗
名所の百首の歌奉りける時よめる
よと共にいつかは消えむ富士の山烟になれてつもる白雪
1300
相摸
題志らず
いつとなく戀するがなる有渡濱の疎くも人になり増る哉
1301
後京極攝政前太政大臣
百首の歌に
足柄の關路こえゆく志のゝめに一むらかすむうき島が原
1302
小町
題志らず
武藏野のむかひの岡の草なればねを尋ねても哀とぞ思ふ
1303
讀人志らず
葛飾のまゝの浦まをこぐ舟のふな人さわぐ浪たつらしも
1304
前大僧正慈圓
かつしかの昔のまゝのつぎ橋をわすれずわたる春霞かな
1305
能因法師
常陸にまかりてよみ侍りける
よそにのみ思ひおこせし筑波ねの峯の白雪けふみつる哉
1306
清原元輔
天祿元年大甞會悠紀方の御屏風の歌
唐崎の濱のまさごの盡くるまで春の名殘は久しからなむ
1307
前大僧正慈圓
山にのぼりける道にて月をみてよみ侍りける
大たけの峯ふく風に霧はれてかゞみの山の月ぞくもらぬ
1308
鎌倉右大臣
題志らず
春きては花とかみえむおのづから朽木の杣にふれる白雪
1309
參議雅經
花さかでいくよの春にあふみなる朽木のそまの谷の埋木
1310
後京極攝政前太政大臣
伊勢の勅使にて甲賀のうまやにつき侍りける日
遙なるみかみの島をめにかけていくせ渡りぬやすの河浪
1311
讀人志らず
題志らず
今更にさらしな河の流れてもうき影見せむ物ならなくに
1312
寂蓮法師
とくさ苅るきその麻衣袖ぬれて磨かぬ露も玉と置きけり
1313
源有教朝臣
信濃國に罷りける人にたき物おくり侍りける
忘るなよあさまのたけの煙にも年へて消えぬ思ありとは
1314
讀人志らず
題志らず
陸奥にありといふなる玉河の邂逅にだに 逢ひ見てしがな
1315
源信明朝臣
陸奥守に侍りける時忠義公のもとに申しおくり侍りける
あけくれは籬の島をながめつゝ都戀しき音をのみぞ鳴く
1316
讀人志らず
題志らず
つらきをも岩での山の谷に生ふる草の袂ぞ露けかりける
1317
清輔朝臣
名所の歌あまたよみ侍りけるに
ふる里の人にみせばや白浪のきくよりこゆる末のまつ山
1318
祝部成重
題志らず
心ある海士の藻汐木たきすてゝ月にぞあかす松がうら島
1319
寂延法師
寄露戀をよめる
忍山木の葉志ぐるゝ下草にあらはれにける露のいろかな
1320
平政村
題志らず
宮城野の木のしたふかき夕露も涙にまさる秋やなからむ
1321
信明朝臣
天暦の御時、屏風の歌
昔より名にふりつめる白山の雲居の雪は消ゆるともなし
1322
大納言師頼
百首の歌奉りける、雪の歌
かき暮し玉ゆらやまずふる雪のいくよ積りぬこしの白山
1323
讀人志らず
題志らず
朝毎に石見の河のみを絶えず戀しき人にあひ見てしがな
1324
内大臣
前關白の家の歌合に名所月といへる心を
夕なぎに明石のとより見渡せば大和しまねを出づる月影
1325
大納言旅人
題志らず
鞆の浦のいその室の木みる毎に逢見し妹は忘られむやは
1326
後京極攝政前太政大臣
浪高きむしあけの瀬戸に行く船のよるべ知せよ沖つ汐風
1327
入道前太政大臣
春秋の雲居の雁もとゞまらずたが玉章のもじのせきもり
1328
讀人志らず
妹がため玉を拾ふときの國の由良のみ崎にこの日暮しつ
1329
藻刈舟沖漕來らし妹がしまかたみの浦にたづかけるみゆ
1330
正三位家隆
時しあれば櫻とぞ思ふ春風のふきあげの濱にたてる白雲
1331
前參議教長
名所の歌よみ侍りけるに
浪よする吹上のはまの濱風に時しもわかぬ雪ぞつもれる
1332
權中納言國信
堀河院に百首の歌奉りける時、山の歌
淺みどり霞わたれる絶間よりみれどもあかぬ妹脊山かな
1333
入道前太政大臣
百首の歌に眺望の心をよみ侍りける
和田の原なみと一つにみくまのゝ浦の南は山のはもなし
1334
七條院大納言
題志らず
みくまのゝ浦わの松の手向草いくよかけきぬ浪の白ゆふ
1335
寂蓮法師
後京極攝政の家の百首の歌に草の歌十首よみ侍りける
風吹けば濱松がえの手向草いく代までにか年のへぬらむ
1336
中院入道右大臣
家に十首の歌よみ侍りけるに晩霞隔浦といへる心をよみ侍りける
淡路島とわたる舟やたどるらむ八重たちこむる夕霞かな
1337
前内大臣
和歌所の歌合に海邊霞をよみ侍りける
あはぢしま志るしの煙みせわびて霞をいとふ春の舟びと
1338
讀人志らず
題志らず
志賀の蜑の煙やきたてやく鹽のからき戀をも我はする哉
1339
志賀の蜑のめかり鹽やき暇なみ櫛笥の小櫛とりもみなくに
1340
前大僧正慈圓
霞志く松浦の沖にこぎ出でゝもろこし迄の春を見るかな
1341
正三位知家
秋山鹿といへる心をよみ侍りける
あさぢ山色かはり行く秋風にかれなで鹿の妻を戀ふらむ