詞花和歌集

Shika wakashū

作者複数 Various

詞花和歌集卷第四
冬

138

曾禰好忠

題志らず

何事も行きて祈らむと思ひしに神無月にもなりにける哉
139

楸生る澤邊の茅ばら冬くれば雲雀の床ぞあらはれにける
140

大貳資通

家に歌合志侍りけるに落葉をよめる

梢にてあかざりしかば紅葉の散りしく庭を拂はでぞみる
141

左衛門督家成

題志らず

色々にそむるしぐれに紅葉は爭ひかねてちりはてにけり
142

大江嘉言

山深みおちてつもれる紅葉のかわける上に時雨ふるなり
143

惟宗隆頼

落葉埋水といふ事をよめる

今更に己が住處をたゝじとて木の葉の下に鴛ぞ鳴くなる
144

落葉有聲といふ事をよめる

風ふけば楢の枯葉のそよ/\と云合せつゝいつか散る覽
145

曾禰好忠

題志らず

外山なる柴のたち枝にふく風の音きく折ぞ冬はものうき
146

讀人志らず

秋はなほ木の下陰も暗かりき月は冬こそ見るべかりけれ
147

左京太夫道雅

東山の百寺をがみけるに時雨しければよめる

諸共に山廻りする時雨哉ふるにかひなき身とはしらずや
148

瞻西上人

旅宿時雨といふ事をよめる

庵さす楢の木蔭にもる月のくもると見れば時雨ふるなり
149

平兼盛

天暦の御時御屏風に網代に紅葉おほくよりたるかたかきける所によめる

深山には嵐やいたくふきぬ覽網代もたわに紅葉つもれり
150

藤原長能

鷹狩をよめる

霰ふるかた野のみ野のかり衣ぬれぬ宿かす人しなければ
151

大藏卿匡房

堀河院の御時百首の歌奉りけるによめる

山深みやく炭がまの烟こそやがて雪げのくもとなりけれ
152

藤原義忠朝臣

大和守にて侍りける時入道前太政大臣の許にて初雪を見てよめる

年をへて吉野の山にみなれたる目に珍らしき今朝の白雪
153

大藏卿匡房

題志らず

奥山のいはがき紅葉ちりはてゝ朽葉が上に雪ぞつもれる
154

大江嘉言

日暮しに山路の昨日時雨しは富士の高嶺の雪にぞ有ける
155

關白前太政大臣

新院くらゐにおはしましゝ時雪中眺望といふ事をよませ給ひけるによみ侍りける

くれなゐに見えし梢も雪ふれば白木綿かくる神なびの森
156

和泉式部

題志らず

まつ人の今も來らばいかゞせむ踏まゝく惜しき庭の雪哉
157

成尋法師

歳暮の心をよめる

數ならぬ身にさへ年の積るかな老は人をもきらはざりけり
158

曾禰好忠

魂祭る年の終になりにけり今日にや又もあはむとすらむ
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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