新古今集 (Shin Kokinshū) — 巻第九 離別哥 作者複数 (Various) 1205 Shin Kokinshū 新古今集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 13th century 13世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1205 しんこきんしゅう Shin Kokinshū 新古今集 しんこきんしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新古今集 Shin Kokinshū
作者複数 Various
巻第九 離別哥
857
紀貫之
みちのくにゝくだり侍ける人に、さうぞくをくるとて、よみ侍ける
たまぼこのみちの山風さむからばかたみがてらにきなんとぞおもふ
858
伊勢
題しらず
わすれなん世にもこしぢのかへる山いつはた人にあはむとすらん
859
紫式部
あさからずちぎりける人の、ゆきわかれ侍けるに
きたへゆく雁のつばさにことつてよ雲のうはがきかきたえずして
860
大中臣能宣朝臣
ゐなかへまかりける人に、たびごろもつかはすとて
秋ぎりのたつたびごろもをきて見よつゆばかりなるかたみなりとも
861
貫之
みちのくにゝくだり侍ける人に
見てだにもあかぬ心をたまぼこのみちのおくまで人のゆくらん
862
中納言兼輔
あふさかのせきのちかきわたりにすみ侍けるに、とをき所にまかりける人に餞し侍るとて
あふさかの関にわがやどなかりせばわかるゝ人はたのまざらまし
863
読人しらず
寂昭上人入唐し侍りけるに、装束をくりけるに、たちけるをしらで、をひてつかはしける
きならせと思しものをたびごろもたつ日をしらずなりにける哉
864
寂昭法師
返し
これやさは雲のはたてにをるときくたつことしらぬあまのは衣
865
源重之
題しらず
衣河見なれし人のわかれにはたもとまでこそ浪はたちけれ
866
高階経重朝臣
みちのくにのすけにてまかりける時、範永朝臣のもとにつかはしける
ゆくすゑにあぶくま河のなかりせばいかにかせましけふのわかれを
867
藤原範永朝臣
返し
君に又あぶくま河をまつべきにのこりすくなきわれぞかなしき
868
枇杷皇太后宮
大宰帥隆家くだりけるに、あふぎたまふとて
すゞしさはいきの松ばらまさるともそふるあふぎの風なわすれそ
869
一条右大臣恒佐
亭子院、みやたき御らんじにおはしましける御ともに、素性法師めしぐせられてまいれりけるを、住吉のこほりにていとまたまはせて、やまとにつかはしけるに、よみ侍ける
神な月まれのみゆきにさそはれてけふわかれなばいつかあひみん\
870
大江千里
題しらず
わかれてのゝちもあひみんとおもへどもこれをいづれの時とかはしる\
871
成尋法師入唐し侍りけるに、母のよみ侍ける
もろこしもあめのしたにぞありときくてる日のもとをわすれざらなん
872
道命法師
修行にいでたつとて、人のもとにつかはしける
わかれぢはこれやかぎりのたびならんさらにいくべき心ちこそせね\
873
加賀左衛門
おいたるおやの、七月七日つくしへくだりけるに、はるかにはなれぬることをおもひて、八日あか月、をひてふねにのるところにつかはしける
あまのがはそらにきえにしふなでにはわれぞまさりてけさはかなしき
874
中納言隆家
実方朝臣みちのくにへくだり侍けるに、餞すとてよみ侍ける
わかれぢはいつもなげきのたえせぬにいとゞかなしき秋のゆふぐれ
875
実方朝臣
返し
とゞまらんことは心にかなへどもいかにかせまし秋のさそふを
876
前中納言匡房
七月許、みまさかへくだるとて、みやこの人につかはしける
宮こをば秋とゝもにぞたちそめしよどの河ぎりいくよへだてつ\
877
後三条院御哥
みこの宮と申ける時、大宰大弐実政、学士にて侍ける、甲斐守にてくだり侍けるに、餞たまはすとて
思いでばおなじそらとは月をみよほどは雲井にめぐりあふまで
878
基俊
みちのくにのかみもとよりの朝臣、ひさしくあひみぬよし申て、いつのぼるべしともいはず侍ければ
かへりこんほどおもふにもたけくまのまつわが身こそいたくおいぬれ
879
大僧正行尊
修行にいで侍けるによめる
おもへどもさだめなきよのはかなさにいつをまてともえこそたのめね
880
読人しらず
にはかに宮こをはなれて、とをくまかりにけるに、女につかはしける
契をくことこそさらになかりしかかねて思しわかれならねば
881
俊恵法師
わかれの心をよめる
かりそめのわかれとけふをおもへどもいさやまことのたびにもあるらん
882
登蓮法師
かへりこんほどをや人にちぎらまししのばれぬべきわが身なりせば\
883
藤原隆信朝臣
守覚法親王、五十首哥よませ侍りける時
たれとしもしらぬわかれのかなしきはまつらのおきをいづるふな人
884
俊恵法師
登蓮法師、つくしへまかりけるに
はるばると君がわくべきしらなみをあやしやとまる袖にかけつる
885
西行法師
みちのくにへまかりける人、餞し侍けるに
君いなば月まつとてもながめやらんあづまのかたのゆふぐれの空
886
とをき所に修行せんとていでたち侍けるに、人々わかれおしみて、よみ侍ける
たのめをかん君もこゝろやなぐさむとかへらん事はいつとなくとも
887
さりともとなをあふことをたのむかなしでの山ぢをこえぬわかれは
888
道因法師
とをき所へまかりける時、師光餞し侍けるによめる
かへりこんほどをちぎらむとおもへどもおいぬる身こそさだめがたけれ
889
皇太后宮大夫俊成
題しらず
かりそめのたびのわかれとしのぶれどおいは涙もえこそとゞめね
890
祝部成仲
わかれにし人はまたもやみわの山すぎにしかたを今になさばや\
891
定家朝臣
わするなよやどるたもとはかはるともかたみにしぼるよはの月かげ
892
惟明親王
みやこのほかへまかりける人によみてをくりける
なごりおもふたもとにかねてしられけりわかるゝたびのゆくすゑのつゆ\
893
読人しらず
つくしへまかりける女に、月いだしたるあふぎをつかはすとて
宮こをば心をそらにいでぬとも月みんたびに思をこせよ\
894
大蔵卿行宗
とをきくにへまかりける人につかはしける
わかれぢは雲井のよそになりぬともそなたの風のたよりすぐすな\
895
藤原顕綱朝臣
人のくにへまかりける人に、かり衣つかはすとてよめる
いろふかくそめたるたびのかり衣かへらんまでのかたみともみよ