續拾遺和歌集

Shoku Shūi wakashū

作者複数 Various

續拾遺和歌集卷第二十
神祇歌

1409

後鳥羽院御製

千五百番歌合に

朝夕にあふぐこゝろをなほてらせ波もしづかに宮川の月
1410

大藏卿有家

跡垂れて幾世になりぬ神風やいすゞの河のふかき流れは
1411

衣笠内大臣

弘長元年百首の歌奉りける時、神祇

神風や内外のみやの宮ばしら千度や君が御代にたつべき
1412

ト部兼直

題志らず

いさぎよきしたつ岩根の朝日影みがける物は玉ぐしの露
1413

荒木田延成

にごりなき御代の流の五十鈴河波も昔に立ちかへるらし
1414

荒木田延季

社頭月と云ふ事を

跡垂れて幾世へぬらむあさぐまやみ山を照らす秋の月影
1415

前大僧正隆辨

神祇の歌の中に

神代よりひかりをとめてあさぐまの鏡の宮にすめる月影
1416

法印行清

男山跡たれそめし袖のうへのひかりと見えてうつる月影
1417

權中納言長方

石清水の社の歌合に、社頭月を

神垣やよゝに絶えせぬ石清水月もひさしき影や澄むらむ
1418

後嵯峨院御製

題志らず

男山老いてさか行く契あらばつくべきつゑも神ぞきる覽
1419

正三位知家

そのかみやふりまさるらむ男山よゝの御幸の跡を重ねて
1420

太上天皇

石清水の社に御幸ありし時よませ給ひける

いはし水たえぬ流は身にうけつ我世の末を神にまかせむ
1421

入道内大臣

寳治元年十首の歌合に、社頭祝

君のみや汲みてしるらむ石清水きよき流れの千世の行末
1422

肥後

寳治三年四月京極入道前關白、後二條關白内大臣に侍りけるをあひともなひて賀茂の社にまうでける時よみ侍りける

諸葉草ひき連ねたる今日こそは長き例しと神も知るらめ
1423

賀茂氏久

本社にさぶらひて思ひつゞけゝる

君が代に影をならべて榊葉の色かはらじと神や植ゑけむ
1424

後土御門内大臣

中納言に侍りける時賀茂の社にまうでゝ侍りけるついでに榊の枝を折りて歌講じ侍りける後程へて賀茂季保がもとにつかはしける

ちはやぶる神に頼みをかけ置きし榊の枝のをりぞ忘れぬ
1425

賀茂季保

かえし

神垣に祈りおきてし榊葉のときはかきはゝかげ靡くまで
1426

賀茂久世

社頭花といへることをよめる

神垣に咲きそふ花をみてもまづ風治まれと世を祈るかな
1427

後京極攝政前太政大臣

題志らず

千早振わけいかづちの神しあれば治まりにける天の下哉
1428

後鳥羽院御製

思ひ出づる神にぞ影はやどりけるその神山のあり明の月
1429

從三位行能

光明峯寺入道前攝政の家の八月十五夜の歌合に、名所月

春日山嶺の榊葉ときはなるみよのひかりも月にみえつゝ
1430

中臣祐賢

神祇の歌よみけるに

くり返し三笠の杜に引く志めのながき惠をなほ祈るかな
1431

前内大臣公

三笠山あふぐしるしに春雨のふりぬる身さへ猶頼むかな
1432

前内大臣師

神だにも哀をのこせ三笠山花のよそなる我が身なりとも
1433

前攝政左大臣

くもらじと思ふにつけて頼むかなみかさの山の秋の月影
1434

内大臣

弘安元年十月春日の社に始めて御幸ありし時まゐりて奏し侍りける

時雨だにもらぬ三笠の松がえに君が御幸ぞ色はそへける
1435

中臣祐茂

春日の若宮の神主にて久しくつかへまつる事を思ひてよめる

霜雪をいたゞく迄に仕へきて六そぢ三笠の山にふりぬる
1436

山階入道左大臣

神祇の歌の中に

千早振をしほの山の峯に生ふる松ぞ神代の事はしるらむ
1437

周防内侍

大原野の祭にまゐりてよみ侍りける

木がらしも心して吹けしめのうちはちらぬ梢ぞ大原の山
1438

後徳大寺左大臣

社頭花といへる心を

住吉の濱松がえの絶間よりほのかにみゆる花のゆふしで
1439

後法性寺入道前關白太政大臣

家の百首の歌の中に、神祇

波たてばしらゆふかゝるすみ吉の松こそ神の榊なりけれ
1440

西行法師

住吉にまうでゝよめる

住吉の松がねあらふ波のおとを梢にかくるおきつしほ風
1441

前大納言良教

弘長三年内裏にて名所松と云ふ事を人々つかうまつりけるに

住吉のきしかたとほき松が根に神代をかけて寄する白波
1442

津守國平

御卷數を松の枝につけて大宮院に奉りけるに女房にかはりて常磐井入道前太政大臣歌をつかはしたりけるをみて後によみてさしおかせ侍りける

住吉の松に結びしことのはに祈る千とせを神やうけゝむ
1443

權大納言長家

上東門院住吉の社にまゐらせ給ひける御ともにてよみ侍りける

住吉の岸に心をとめつれば千とせをそふる御幸なるべし
1444

後嵯峨院御製

日吉の社に御幸の時よませ給ひける

道あれど我世を神に契るとてけふ踏初むる志賀の山ごえ
1445

山階入道左大臣

前大僧正道玄おなじき社にて人々にすゝめ侍りける廿一首の歌の中に

天降る神を日吉にあふぎてぞ曇りなかれと世を祈るかな
1446

天台座主公豪

うれふる事侍りける比よみ侍りける

日吉とて頼む蔭さへいかなれば曇りなき身を照さゞる覽
1447

澄覺法親王

神祇の歌の中に

曇りなき日吉の蔭を頼まずばいかで憂世の闇を出でまし
1448

祝部成茂

心のほかの事によりて社のまじらひもせず侍りけるに[11]11事あらまたりて後社頭にまゐりてよめる

いさぎよき心をくみて照すこそくもらぬ神の光なりけれ
1449

權少僧都良仙

大宮によみて奉りける歌に

かすみにし鷲の高嶺の花の色を日吉の影に映してぞみる
1450

讀人志らず

客人の宮にて花の散りけるを見てよめる

古への越路おぼえて山ざくら今もかはらず雪とふりつゝ
1451

祝部成良

文永元年十月後嵯峨院本社に御幸ありける日雪のふりければよみ侍りける

神垣やけふの御幸の志るしとてをひえの杉はゆふ懸て鳬
1452

祝部國長

三宮の本地の心を

すゑの世の塵にまじはる光こそ人に志たがふ誓なりけれ
1453

賀茂氏久

題志らず

老が世を神やうくらむ御志め繩思へばながき我が命かな
1454

紀淑文

舊りにける御垣に立てる松がえに幾世の風の神さびぬらむ
1455

入道右大臣

寳治元年十首の歌合に、社頭祝

神垣の葛の志た風のどかにてさこそ恨のなき世なるらめ
1456

太上天皇

神祇の心をよませ給ひける

今も猶久しく守れちはやぶる神のみづがき世々を重ねて
1457

前攝政左大臣

題志らず

國やすく民ゆたかにと朝夕にかけてぞ祈る神のゆふしで
1458

右兵衛督基氏

千早振神のみ室に引く志めのよろづ世かけていはふ榊葉
1459

後嵯峨院御製

榊とりますみのかゞみかけしより神の國なる我國ぞかし
1460

前大納言爲家

弘長元年百首の歌奉りける時、神祇

榊葉のかはらぬ色に年ふりて神代ひさしきあまのかぐ山
1461

花山院御製

熊野にまゐらせ給ひける時いはた河にてよませ給うける

いはた河渡る心のふかければ神もあはれと思はざらめや

續拾遺和歌集終

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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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