新後拾遺和歌集 (Shin Goshūi wakashū) — 新後拾遺和歌集卷第十一 戀歌一 作者複数 (Various) Late 14th Century Shin Goshūi wakashū 新後拾遺和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1382 しんごしゅういわかしゅう Shin Goshūi wakashū 新後拾遺和歌集 しんごしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
Titles ›
新後拾遺和歌集 › 新後拾遺和歌集卷第十一 戀歌一 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
新後拾遺和歌集 Shin Goshūi wakashū
作者複数 Various
新後拾遺和歌集卷第十一 戀歌一
927
藤原道信朝臣
始めて人に遣はしける
如何にしていかに打出でむ言はゞ又なべての事になりぬべき哉
928
左大臣
百首の歌奉りし時、初戀
行く末は猶如何ならむ思ひ入る今だにやがてまよふ心は
929
前關白近衞
踏み初むる程は苦しき戀路ぞと迷ふを強ひて思ひ入る哉
930
權中納言公雄
文保三年百首の歌奉りけるに
涙川如何に堰くべき流れとも習はぬ物をそでのしがらみ
931
相摸
題志らず
陸奥の袖のわたりのなみだ川心のうちにながれてぞすむ
932
讀人志らず
思ひつゝ程經るまゝに涙河いとゞ深くもなりまさるかな
933
從二位業子
戀の歌の中に
物思ふみなかみよりや涙川そでに流るゝものとなりけむ
934
前大納言爲定
文保三年、百首の歌に
堰き侘びぬ洩しやせまし涙川ひとめづゝみも心なりけり
935
權中納言爲重
百首の歌奉りし時、忍戀
涙川袖のなかなるみをなれば瀬々を早しと知る人もなし
936
入道二品親王尊道
題志らず
したむせぶ岩垣淵の草がくれ淺しとだにも知る人ぞなき
937
前僧正宋縁
思ふとも誰かは知らむ初尾花まだ穗に出でぬしたの心を
938
攝政太政大臣
知られじな氷をかづく鳰鳥の底に碎くるこゝろありとは
939
正三位通藤女
うきにはふ芦間のみくり下にのみ絶えず苦しき物をこそ思へ
940
安嘉門院四條
袖も知れ枕も洩らせ戀しさを堰きとゞむべき涙ならねば
942
唯圓法師
洩さじとおもふは誰れが涙にてつゝむ袂のひま求むらむ
943
源直氏
涙川はては浮名や流さましせくかひもなき袖のしがらみ
944
藤原頼兼
如何にせむ程なき袖のしがらみに包みなれても餘る涙を
945
爲冬朝臣
袖までもまだ洩さねば夜な/\の月だに知らぬ涙なり けり
946
前大納言資季
寶治の百首の歌に、寄月戀
天の川光とゞめず行く月の早くもひとにこひやわたらむ
947
天暦御製
戀の御歌の中に、同じ心を
月影に身をやかへまし哀れてふ人の心に入りて見るべく
948
權中納言爲重
更けてこそ思絶ゆとも三日月の宵の間ばかり見る影もがな
949
讀人志らず
山の端に廿日の月のはつ/\に見し計りにや斯は戀しき
950
前大納言爲定
貞和二年、百首の歌に
通路の無きにつけてぞ志のぶ山つらき心の奧は見えける
951
藤原藤經
題志らず
心こそ絶えぬ思ひに亂るとも色にな出でそ忍ぶもぢずり
952
深守法親王
百首の歌奉りし時、忍戀
名取川音にな立てそ陸奧のしのぶが原はつゆあまるとも
953
藤原惟成
女に遣しける
うら若み荻の下葉に置く露をさもほのめかす風の音かな
954
源兼氏朝臣
題志らず
我が戀はまだ古巣なる鶯の鳴きても人に知らせかねつゝ
955
爲道朝臣
螢より燃ゆといひても頼まれず光に見ゆる思ひならねば
956
藻壁門院少將
洞院攝政の家の百首の歌に
人知れぬ泪の色はかひもなし見せばやとだに思ひ寄らねば
957
讀人志らず
題志らず
人知れぬ思ひするがの國にこそ身を木枯の杜はありけれ
958
前中納言定家
建保二年内裏に百首の歌奉りけるに
片絲のあだの玉の緒より懸てあはでの杜に露消えねとや
959
惟宗光吉朝臣
題志らず
戀ひ死なむ命をだにも惜まぬに誰がため包む心なるらむ
960
參議教長
人目をも包まぬ計り戀しきはおぼろげならぬ心とを知れ
961
前大納言爲定
寄烟戀
絶えず立つ烟よりこそ富士の嶺のならぬ思も身に知られけれ
962
信慶法師
思ふとも知らじなよそに海士の燒く藻鹽の烟下に焦れて
963
深守法親王
夕烟さしも苦しき下もえの立つ名とならば猶やこがれむ
964
藤原爲量朝臣
我が方に靡くとも見ば夕烟せめて浮名はよそに立つとも
965
權中納言經重
共にさてうき名や立たむあづまなる霞の浦の烟ならねど
966
太上天皇
百首の歌めされし時、忍戀
なほざりに抑ふる方もありけりと洩らば涙を人や喞たむ
967
從二位家隆
建保二年、内裏の百首の歌に
筑波山しづくと絶えぬ谷水の如何なる隙に洩し初めまし
968
三善長康
題志らず
よそに散る玉とな見えそ堰く袖のたぎつ心は湧き返る共
969
前大納言爲定
貞和二年百首の歌奉りけるに
洩れぬべき袖の涙に知らせばや問へど白玉いはぬ習ひを
970
左大臣
永徳元年五月五日内裏にて三首の歌講ぜられし時、思不言戀を
戀しさの例もいかゞ岩躑躅染めてなみだは色に見ゆとも
971
左近大將朝光
女に思ふやと問ひたりけれどいらへもせざりければ
思ふともいはずなりぬる時よりも増る方にて頼まるゝ哉
972
讀人志らず
返し
言はねども心の程を見えぬれば何れをまさる方と頼まむ
973
前中納言爲明
貞和二年、百首の歌に
よしさらば言ひだに放てとにかくに芦間の池の障る契を
974
前大納言爲定
建長二年八月十五夜、鳥羽殿の歌合に
消えねたゞ蜑のすくも火下燃の烟やそれと人もこそ問へ
975
基運法師
題志らず
消え果てむむなし烟の末までも靡く方とは人に知られじ
976
祝部行藤
人知れずまた懲りずまに燒く鹽の烟は下に猶むせびつゝ
977
從三位爲信
里はいづくぞと問へばそことも無く海士のやうになむあると云ふ人に遣はしける
渡つ海のそことも知らぬ蜑なれば藻鹽の烟立たば尋ねむ
978
讀人志らず
返し
みるめなき潮の亂るゝ蜑なれば袖の浦にぞ尋ねても見む
979
前大納言爲兼
弘安の百首の歌に
蜑のかる磯の玉藻の下亂れ知らせ初むべき波の間もがな
980
左衛門督資康
百首の歌奉りし時
昨日より今日は色添ふ染川に立つ名も知らず戀や渡らむ
981
深守法親王
如何にして空に立ちける浮名ぞと宿りし袖の月にとはゞや
982
源義種
題志らず
靡くともみぬめの浦の夕烟かくてうき名を猶や立つらむ
983
道喜法師
如何なれば小野の秋津にゐる雲の靡きもあへず浮名立つらむ
984
寶篋院贈左大臣
つひに早おさふる袖も朽ち果てぬ何に涙を今はつゝまむ
985
前關白近衞
百首の歌奉りし時、顯戀
朽ち果てむ後をば何に歎きけむ今より袖に餘るなみだを
986
權律師義寶
題志らず
身にあまる思ひや猶も知られまし涙は袖に包み來ぬれど
987
勝部師綱
なほざりに思ひし程や包みけむ恨にあまる袖のなみだを
988
寶篋院贈左大臣
延文の百首の歌に、寄烟戀
身に餘る思の烟遂にはやよそにうき名の立ちにけるかな
989
善源法師
題志らず
如何にせむ芦のしのびの夕烟無き名計りは早立ちにけり
990
元可法師
いかゞせむうだの燒野にふす鳥のよそに隱れぬ戀の疲を
991
源兼能朝臣
逢ふこと に堪へぬ心を較ぶればせめては惜しき名をや洩さむ
992
正三位通藤女
戀死なば逢ふにかへたる命かと無き名をさへや跡に殘さむ
993
右衞門督親雅
内裏にて人々題を探りて歌仕うまつりけるに、寄玉戀
逢ふ夜はの數になさばや袖の上に落ちて淀なき瀧の白玉
994
太上天皇
百首の御歌に
衣手よさのみな漏れそ藤代の御坂を越ゆるこひの道かは
995
讀人志らず
題志らず
大井川おろす筏の如何なれば流れてつひに戀しかるらむ
996
權律師桓輸
戀ひ死ねと駿河の海の濱つゞら來る世も波の袖濡すらむ
997
小槻兼治
逢ふ事は猶かた岡の眞葛原恨みも果てず濡るゝそでかな
998
後鳥羽院下野
戀の歌の中に
最上川いなとこたへていな舟のしばし計りは心をも見む
999
道因法師
最上川登りもやらぬいな舟の逢ふ瀬過ぐべき程ぞ久しき
1000
讀人志らず
瀬を早み絶えず流るゝ水よりも盡きせぬ物は涙なりけり
1001
二品法親王覺助
弘安の百首の歌に
深き江に流れもやらぬ亂芦のうき節ながらさてや朽なむ
1002
攝政太政大臣
延文の百首の歌奉りけるに、寄橋戀
芦根はふ堀江の橋の絶えず猶下に亂れて戀ひわたるかな
1003
寂眞法師
寄舟戀を
浦風のむかふ潮瀬に行く舟のたゆむ時なく身は焦れつゝ
1004
前大納言經繼
文保の百首の歌に
如何なれば我身の方に置く網のこと浦にのみ心引くらむ
1005
前中納言定家
建保二年、内裏の百首の歌に
梓弓いそまの浦に引く網の目にかけながら逢はぬ君かな