續千載和歌集 (Shoku Senzai wakashū) — 續千載和歌集卷第十八 雜歌下 作者複数 (Various) Early 14th Century Shoku Senzai wakashū 續千載和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1319 しょくせんざいわかしゅう Shoku Senzai wakashū 續千載和歌集 しょくせんざいわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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續千載和歌集 › 續千載和歌集卷第十八 雜歌下 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
續千載和歌集 Shoku Senzai wakashū
作者複数 Various
續千載和歌集卷第十八 雜歌下
1953
中納言朝忠
題志らず
世の中は唯今日のごとおもほえて哀れ昔になりも行く哉
1954
讀人志らず
忘れずよなれし雲居の夜半の月光を袖のうへにやどして
1955
圓光院入道前關白太政大臣
古への名殘やなほもへだてまし月におぼえぬ昔なりせば
1956
藤原忠資朝臣
月催懷舊といふことを
見しこともかはらぬ月の面影や唯めのまへの昔なるらむ
1957
近衛關白前左大臣
故郷月といふ事を
むかしをば思ひいづやと故郷の軒もる月にことやとはまし
1958
後二條院御製
位におましましける時七月七日人々題をさぐりて百首の歌よみ侍りけるついでに對月忍昔と云ふ事をよませ給うける
ながめつゝ猶も昔を忍ぶべき月を隔つる我がなみだかな
1959
慈道法親王
西山に住み侍りける頃よみ侍りける
むかしをも忘れぬ宿の月なれやかはらぬかげに墨染の袖
1960
雲禪法師
題志らず
いく秋か かはらぬ月のやどならむ跡は昔の庭のあさぢふ
1961
行乘法師
みしまゝのかげだに殘れ夜半の月秋は昔の秋ならずとも
1962
法印玄守
何ゆゑにかはらぬ友とたのむらむ月は昔の秋もしのばじ
1963
西音法師
みれば先づ泪流るゝみなせ川いつより月の獨りすむらむ
1964
圓光院入道前關白太政大臣
雨中忍昔といへる心を
むかし思ふ老の泪にそふ物は我が身を秋の時雨なりけり
1965
惟宗忠秀
題志らず
古への野中の清水くまねども思ひ出でゝぞ袖ぬらしける
1966
法印顯範
行く年は六十ぢつもりの浦風にかへらぬ老の波ぞ悲しき
1967
丹波長有朝臣
今はわが八十ぢ餘りの友もなし誰と見し世の事語らまし
1968
圓光院入道前關白太政大臣
あはれなり思ひしよりもながらへて昔をこふる老の心は
1969
後鳥羽院御製
人々に五十首の歌めしけるついでに
見ずしらぬ昔の人の戀しきは此の世を歎くあまりなり けり
1970
前參議雅有
懷舊の心を
昔まで遠くはいはじ過ぎぬれば昨日の事も戀しかりけり
1971
藻壁門院少將
獨懷舊といふ事を
哀れとも誰かはきかむ人志れぬ心の内のむかしがたりは
1972
天台座主慈勝
題志らず
かず/\に忍ぶべしとは思ひきや等閑にこそ過ぎし昔を
1973
讀人志らず
行末も猶こし方のまゝならばいつを我が身の思出にせむ
1974
岩藏姫君
忘られぬその思出もなき物を何ゆゑ忍ぶむかしなるらむ
1975
藤原盛徳
今さらに昔を何と忍ぶらむうき世とてこそ思ひすてしか
1976
祝部貞長
遠ざかる物とはいはじ思出でゝ忍ぶ心にかへるむかしは
1977
藤原基有
思出のなきをうき身に喞ちてもたがため忍ぶ昔なるらむ
1978
圓光院入道前關白太政大臣
たけぐまの松を頼みにながらへて昔をみきと誰に語らむ
1979
民部卿實教
深草なる所にまかりて夕懷舊といふ事をよみ侍りける
つかへこし昔なりせば深草の里はくれぬと急がざらまし
1980
祝部行氏
題志らず
老いぬればぬるが内にも古への同じ事こそ夢に見えけれ
1981
二品法親王性助
みるまゝに夢になりゆく古へを思ひしりても何志ぶらむ
1982
伏見院新宰相
伏見院に三十首の歌奉りける時、夜夢
夜を殘す寐覺の床におもふかな昔をみつる夢のなごりは
1983
平齊時
遊女の心を
一夜あふゆきゝの人のうかれ妻いく度かはる契なるらむ
1992
行蓮法師
題志らず
背く世にいつ思立つ道もなし暮るゝ日毎に明日は頼めど
1993
前大僧正源惠
背くべき物ぞと世をばしりながら心ならでや誰も過ぐ覽
1994
讀人志らず
山深くせめては誘ふ友もがな我と背くはかたき世なれば
1995
何事を惜むとしもはなけれども厭ふにかたき浮世なり けり
1996
前右大臣室
今更にすつ共何か惜からむ本より世にもある身ならねば
1997
明玄法師
住侘びて背くべき世と思ひしる心にいつか身をも任せむ
1998
大僧正道順
百首の歌奉りける時
歎くべき世のことわりはなき物を思ふにも似ぬ心なるらむ
1999
法橋相眞
題志らず
うきたびに猶世を喞つ心こそげに數ならぬ身を忘れけれ
2000
平時夏
恨むべき世にし非ねば中々に數ならぬ身ぞ住みよかりける
2001
賀茂基久
斯て身の憂きにつけても厭はずばげに世をすつる折やなからむ
2002
平宗直
定なき習ならずば世の中のうきにややがて厭ひはてまし
2003
藤原景綱
厭ひても後はいかにと思ふこそ猶世にとまる心なりけれ
2004
藤原頼氏
世をすつる數にさへ社洩にけれうき身の末を猶頼むとて
2005
前左兵衛督教定
厭ひても心をすてぬ物ならば浮世へだつる山やなからむ
2006
中臣祐春
一すぢに山の奥とも急がれず住み果てぬべき心ならねば
2007
源隆泰
浮世をば厭ひぞはてぬあらましの心は山の奥にすめども
2008
昭慶門院一條
いつまでかすまで心にかゝるべき深きみ山の峯の志ら雲
2009
平時常
捨果てむ後こそ人に世のうさをいはで厭ひし身ともしられめ
2010
權大納言兼季
述懷の心を
在りはてぬ浮世の中の假の宿いづくにわきて心とゞめむ
2011
院御製
賤がやに圍ふや柴の假の世は住みうしとても哀いつまで
2012
示證上人
題志らず
ありとてもうき身はよしや吉野川早く此世を厭果てなむ
2013
權大僧都嚴教
憂き事き有果てぬよと思はずばいつを限に身を歎かまし
2014
平宣時朝臣女
今は早世をも恨みず身一つの憂きに爲てぞ音は泣れける
2015
權少僧都定圓
身こそ早心の儘になりにけれうしと思ひし世を遁れつゝ
2016
權中納言公雄
嘉元の百首の歌奉りし時、述懷
歎かじようき身にそへる浮世ともしらでぞ山の奥は求めし
2017
おなじ心を
捨てし世の志るしや何ぞ今も猶うき身離れぬ我が泪かな
2018
入道前太政大臣
出家の後年頃申しかはしける女世をのがれて今は後の世も頼もしき由申して侍りければ
生ける身の爲と計りに見し人の長き世までの友と成ける
2019
讀人志らず
返し
生ける身のうさも忘れて後の世の友ときくにぞ今は嬉しき
2020
兼好法師
題志らず
いかにして慰む物ぞうき世をも背かで過す人にとはゞや
2021
後徳大寺左大臣
寂蓮法師世をのがれぬと聞き侍りて申しつかはしける
世の中を出でぬとなどか告げざりし後れじと思ふ心ある物を
2022
寂蓮法師
返し
人をさへ導く程の身なりせば世を出ぬとは告げもしてまし
2023
常磐井入道前太政大臣
大原にまかりて草庵の所などしめおきて後寂圓上人に申しつかはしける
嬉しくぞまだみぬ山の奥もみし世のうき時の宿求むとて
2024
入道前太政大臣
前參議實俊出家して侍りけるにつかはしける
同じ世をすつる心のへだてなく共にもとめむ道ぞ嬉しき
2025
前參議實俊
返し
尋ねいるおなじ道にといそぎてぞ衣の色も思ひそめにし
2026
後一條入道前關白左大臣
述懷の歌の中に
いかにせむつらき所の數そへて吉野の奥もすみよからずば
2027
靜仁法親王
弘安の百首の歌奉りける時
老の身に吉野の奥のすゞ分けて浮世をいづる道は知にき
2028
平宗宣朝臣
題志らず
長らへて有りはつまじき理を思ふよりこそ浮世なりけれ
2029
順助法親王
幾程もあらじ物ゆゑながらへて何と浮世の夢をみるらむ
2030
右兵衛督基氏
醒易き老のねぶりの夢にこそ彌果敢なゝる程はみえけれ
2031
二品法親王覺助
積りゆく我がよの程の年月はたゞ時のまのうたゝねの夢
2032
藤原冬隆朝臣
現だに思ふにたがふ行く末をみし夢とてもいかゞ頼まむ
2033
權少僧都澄舜
七十ぢの夢より後のいかならむ永きねぶりの果ぞ悲しき
2034
前大僧正仁澄
心をば夢のうちにぞなぐさむる現はつらき浮世なれども
2035
藤原盛徳
いかにして現のうさを慰めむ夢てふ物をみぬ世なりせば
2036
前大僧正守譽
世の中は唯かりそめの草枕むすぶともなき夢とこそみれ
2037
式乾門院御匣
夢とのみ思ひなしてややみなまし浮世慕はぬ心なりせば
2038
太政大臣
嘉元の百首の歌奉りし時、夢
ぬるが内が夢をも夢と思はねばしらず孰れか現なるらむ
2039
三善爲連
題志らず
おどろかで心のまゝにみる程は夢も現にかはらざりけり
2040
讀人志らず
世をわたる現もさぞとあだにみて思ひしらるゝ夢の浮橋
2041
中務卿具平親王
世の中はいつかは夢と思はねど現すくなき頃にもある哉