續千載和歌集 (Shoku Senzai wakashū) — 續千載和歌集卷第二 春歌下 作者複数 (Various) Early 14th Century Shoku Senzai wakashū 續千載和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1319 しょくせんざいわかしゅう Shoku Senzai wakashū 續千載和歌集 しょくせんざいわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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續千載和歌集 › 續千載和歌集卷第二 春歌下 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
續千載和歌集 Shoku Senzai wakashū
作者複数 Various
續千載和歌集卷第二 春歌下
87
後嵯峨院御製
寳治の百首の歌めしけるついでに、惜花
かく計をしと思ふ日を暮れぬとて花みで歸る人さへぞうき
88
前大納言爲家
西園寺入道前太政大臣の家の三首の歌に、花下日暮といへる心を
ながしとも思はで暮れぬ夕日かげ花にうつろふ春の心は
89
源重之女
題志らず
春の日は花に心のあくがれて物思ふ人と見えぬべきかな
90
藤原清輔朝臣
思ひねの心や行きて尋ぬらむ夢にも見つる山ざくらかな
91
後法性寺入道前關白太政大臣
家に歌合し侍りけるに、花下明月
照る月も光をそへよ春ならでいつかは花と共に見るべき
92
順徳院御製
花の歌とてよませ給うける
ほの%\と明け行く山の櫻花かつ降り増る雪かとぞ見る
93
鎌倉右大臣
弓のわざし侍りけるに芳野山のかたをつくりて、山人の花見たる所をよみ侍りける
三吉野の山に入りけむ山人となりみてしがな花にあくやと
94
談天門院
山花といへる心を
芳野山まがふさくらの色なくばよそにや見まし峯の白雲
95
前大納言爲氏
嵐山ふもとの花のこずゑまで一つにかゝる峯のしらくも
96
六條内大臣
百首の歌奉りし時
しら雲のへだつるかたや山鳥の尾上に咲ける櫻なるらむ
97
正三位爲實
大原や小鹽のさくら咲きぬらし神代の松にかゝる白くも
98
萬秋門院
題志らず
咲きにけり外山の峰の櫻花たなびく雲のいろぞうつろふ
99
權大納言經繼
百首の歌奉りし時
白雲は立ちも別れで吉野山花のおくより明くるしのゝめ
100
平貞時朝臣
題志らず
三芳野やをのへの花に入る月の光をのこす山ざくらかな
101
前大納言俊光
霞みつるをちの高嶺もあらはれて夕日にみゆる山櫻かな
102
内大臣
百首の歌奉りし時
花のいろは猶暮れやらで初瀬山をのへの鐘の聲ぞ聞ゆる
103
邦省親王
題志らず
葛城や高間の霞立ちこめてよそにも見えぬ花のいろかな
104
入道前太政大臣
嘉元の百首の歌奉りし時、花
山ざくら花の外なるにほひさへ猶立ちそふは霞なりけり
105
二品法親王覺助
百首の歌奉りし時
咲きつゞく花はそれとも見えわかで霞のまより匂ふ白雲
106
津守國助
花の歌の中に
深山木のしげみの櫻咲きながら枝に籠れる花とこそ見れ
107
左大臣
徳治二年三月、歌合に
身の春をいつとか待たむ九重の御階の櫻よそにのみ見て
108
左近大將爲教
南殿の櫻を本府より植ゑ侍りける時大内の花のたねにて侍りければ
古への雲居の櫻たねしあれば又春にあふ御代ぞ知らるゝ
109
前關白太政大臣
百首の歌奉りし時
百敷や御階の花はいにしへにいつまで花の匂ひなりけむ
110
法皇御製
故郷花を
故郷にむかし忘れず咲く花はたが世の春を思ひ出づらむ
111
權中納言爲藤
今上いまだみこの宮と申し侍りし時講ぜられし五首の歌の中に、花
さゞ浪や志賀の故郷あれまくを幾世の花に惜みきぬらむ
112
後鳥羽院御製
五十首の歌よませ給うけるに
はなゆゑに志賀の故郷今日見れば昔をかけて春風ぞ吹く
113
入道二品親王性助
故郷花といふ事を
住み捨てし我が故郷を來て見れば花ばかりこそ昔なり けれ
114
源兼氏朝臣
花の歌の中に
へだて行く昔の春のおもかげに又立ちかへる花のしら雲
115
中務
天徳四年、内裏の歌合に、櫻
年毎に來つゝわが見る櫻花かすみも今は立ちなかくしそ
116
源俊頼朝臣
堀河院の御時中宮の御方にて、かたをわかちて花を折りに遣はして、御前にたてならべて歌よませ給ひにけるによめる
吹く風を厭ひてのみも過すかな花見ぬ年の春しなければ
117
平宣時朝臣
題志らず
いきてこそ今年も見つれ山櫻はなに惜しきは命なりけり
118
前大納言爲家
花を見て慰むよりや三吉野の山をうき世の外といひけむ
119
安嘉門院四條
弘安の百首の歌奉りける時
いか計人を待たまし宿からに訪はれぬ花と思ひ知らずば
120
藻壁門院少將
花の歌の中に
よしさらば風にも散りね櫻花みる我ならで訪ふ人もなし
121
讀人志らず
おのづから花のをりのみ訪ふ人の心の色をいかゞ頼まむ
122
權大納言長家
白川の花見侍りて次の日よみ侍りける
立ち歸りいざ又行かむ山ざくら花の匂のうしろめたさに
123
白川院御製
題志らず
峰つゞき匂ふ櫻をわが物と折りてや來つる春の日ぐらし
124
左京大夫顯輔
をしむとていくかもあらじ山櫻心のまゝに折りて歸らむ
125
野宮左大臣
千五百番歌合に
如何ばかり待つも惜むも花ゆゑは人の心をみよし野の山
126
民部卿實教
前大納言爲世すゝめ侍りし春日の社の三十首の歌の中に
誰も皆花にかへさや忘るらむ今日は山路に逢ふ人もなし
127
法印定爲
前中納言定房の家にて、花下日暮といへる心をよみ侍りける
尋ねつる志るべと頼む山人の歸るも知らず花を見るかな
128
順助法親王
濡れつゝもあかずぞ見つる山ざくら薫る軒端の花の雫に
129
法印長舜
花の歌の中に
散るをこそうしともかこて咲く花の匂はさそへ春の山風
130
平宗宣朝臣
あだに咲く花のつらさに習はずは散らぬより先物は思はじ
131
藤原隆信朝臣
あだに散る物からいかで櫻花のどけき春の色を見すらむ
132
前大納言爲氏
風のまに散らずはありとも山櫻いくかを花の盛とは見む
133
權中納言通俊
寛治八年高陽院の歌合に、櫻
春風は吹くとも散るなさくら花はなの心を我になしつゝ
134
花山院御製
題志らず
霞立つやまの櫻はいたづらに人にも見えで春や過ぐらむ
135
太宰權帥爲經
移ろはでしばしはまがふ山櫻ちればよそなる峯のしら雲
136
前攝政左大臣
嘉元の百首の歌奉りし時、花
いとはじよ空に嵐のさそはずば四方の梢の花を見ましや
137
今上御製
落花の心をよませ給うける
あだなりと移ろふ花に喞つ哉ちらぬを風も誘ひやはする
138
仁和寺二品法親王守覺
花の歌の中に
花と見るよそめばかりの白雲もはらふはつらき春の山風
139
前中納言定家
正治二年九月、十首歌合に、落花
わがきつる跡だに見えず櫻花ちりのまがひの春の山かぜ
140
辨乳母
小野皇太后宮にまうでけるに、道なりける花は散りて、かしこには盛なりければよみ侍りける
都には散りにしものを山櫻われを待つとや風もよきけむ
141
中納言朝忠
天徳四年内裏の歌合に、櫻
あだなりと豫て知りにき櫻花惜む程だにのどけからなむ
142
貫之
題志らず
散る時はうしと見れども忘れつゝ花に心の猶とまるかな
143
讀人志らず
手折りても猶うつろはゞ櫻ばな心づからのうさや忘れむ
144
參議雅經
建保四年後鳥羽院に百首の歌奉りける時
春風は花ちるべくも吹かぬ日におのれうつろふ山櫻かな
145
津守國助
名所の歌よみ侍りける中に
櫻花散らでもおなじ手向山ぬさとな吹きそ春のゆふかぜ
146
九條左大臣
惜落花といへる心を
散る花のあかぬ色香を身にかへてさも慕はるゝ山櫻かな
147
入道前太政大臣
百首の歌奉りし時
慣れてみる老木の花よ散り易き我が涙には習はざらなむ
148
前關白太政大臣
雨後落花を
あめはるゝ軒端の花に風過ぎて露もたまらず散る櫻かな
149
中務卿恒明親王
花の歌の中に
立歸り風をのみ社恨みつれ吹かずば花も散らじと思へば
150
俊惠法師
後法性寺入道前關白の家の歌合に、花下明月
花よりも月をぞ今宵惜むべき入なば爭で散るをだに見む
151
俊頼朝臣
修理大夫顯季人々に花の十首の歌よませ侍りけるに
をしとだにいはれざりけり櫻花ちるを見るまの心惑ひに
152
大納言經信
題志らず
春風の吹きまふ時は櫻ばな散りぬる枝に咲くかとぞ見る
153
前内大臣通
吉野川花の志がらみかけてけり尾上の櫻いまや散るらむ
154
從三位氏久
山川に花の流るゝを見て
散る花の浪を岩根に吹きこして風にぞまさる山川のみづ
155
常磐井入道前太政大臣
西園寺の花の盛に申し遣しける
おもひやる心の花も池水にうつるばかりの色や見ゆらむ
156
西園寺入道前太政大臣
返し
今日來ずば明日とも待たじ櫻花徒らにのみ散らば散らなむ
157
源兼康朝臣
花纔殘といふ事を
明日は又いかに眺めむ散果てぬ今日だにつらき花の梢を
158
源邦長朝臣
題志らず
吹く風を恨みもはてじ山櫻こゝろと散らば花の名も惜し
159
平貞時朝臣
なれて見る我が名殘をば惜までや誘ふ嵐に花の散るらむ
160
平齊時
昨日見し梢の花はこのねぬる朝げの風にふれる志らゆき
161
前大僧正實超
分きてなどおなじ梢の春風にかたえ殘して花の散るらむ
162
藤原泰宗
池上落花をよめる
散りのこるみぎはの櫻かげ見えて花の波たつ春風ぞ吹く
163
津守國冬
嘉元の百首の歌奉りし時、花
さくら花ちり殘るらし吉野山あらしの跡にかゝる志ら雲
164
法印定爲
風わたる雲のはやしの山櫻はなのところも雪と降りぬる
165
前大納言爲氏
文永二年内裏の十首の歌に、落花似雪といふ事を
雪とのみ降りこそまされ山櫻うつろふ花の春の木のもと
166
伏見院御製
硯のふたに櫻を入れて入道前太政大臣につかはされける
散りまよふ面影をだにおもひやれ尋ねぬ宿の花の志ら雪
167
入道前太政大臣
御返し
訪はでしも見るぞかひあるよそ迄も散來る庭の花の白雪
168
後京極攝政前太政大臣
正治の百首の歌奉りける時
今日も又とはで暮れぬる故郷の花は雪とや今は散るらむ
169
後鳥羽院御製
題志らず
吉野山くもらぬ雪と見るまでに有明の空に花ぞ散りける
170
從二位家隆
前大納言爲家の家に百首の歌よみ侍りけるに
かづらきや高間の嵐吹きぬらし空に知らるゝ花の志ら雪
171
修理大夫顯季
承暦二年四月内裏の歌合に、櫻
尋ねこぬさきには散らで山櫻みる折にしも雪と降るらむ
172
常磐井入道前太政大臣
月花門院へ奉りける
山里は訪ひ來る人の跡もなし降りつむ花は雪と見れども
173
藤原爲道朝臣
永仁二年三月内裏にて人々三首の歌よみ侍りける時、山路落花を
散らぬまに越ゆべかりける山路共跡つけ難き花に社しれ
174
伏見院御製
寄風花といへる心をよませ給うける
うつろふも心づからの花ならばさそふ嵐をいかゞ恨みむ
175
藻壁門院少將
花の歌の中に
哀れなど風に心のなき世とて春咲く花を散らしはつらむ
176
西園寺入道前太政大臣
袖の上にあかぬ色香は留めおけ暮れなば春の花の形見に
177
大江千里
落盡閑花不見人といへる心を
跡たえて靜けき宿に咲く花のちりはつる迄みる人ぞなき
178
讀人志らず
謙徳公の家の歌合に
うぐひすの羽風に花や散りぬらむ春暮れ方の聲に鳴く也
179
今上御製
みこの宮と申し侍りし時よませ給うける
さのみやは春の深山の花を見むはやすみ昇れ雲の上の月
180
前大納言爲世
百首の歌奉りし時
老いてこそ涙も曇れ春の夜の月はいつより霞みそめけむ
181
二品親王覺助
かすむ夜の月にぞさらに忍ばるゝ忘るばかりの春の昔は
182
平時村朝臣
春月を
春の夜のかすみに曇る空なれば涙いとはで月や見るべき
183
後深草院少將内侍
くもるとは見えぬ物から久方の空にかすめる春の夜の月
184
讀人志らず
つらしとは恨みざらまし春の夜の月を隔てぬ霞なりせば
185
前大納言爲氏
弘長元年百首の歌奉りける時、同じ心を
見ずもあらず見もせぬ影の中空に綾なく霞む春の夜の月
186
伏見院御製
春曉月といへる事を
月影を霞にこめて山の端のまだ明けやらぬしのゝめの空
187
躬恒
延喜の御時の御屏風に
ひとりのみ見つゝぞ忍ぶ山吹のはなの盛にあふ人もなし
188
前大納言爲家
寳治の百首の歌奉りける時、籬山吹
山吹の花こそいはぬいろならめもとの籬を問ふ人もがな
189
土御門院小宰相
暮れぬとて人もとまらぬ籬には咲く山吹の花の名もうし
190
法皇御製
同じ心をよませ給うける
さくら花散りにし後は山ぶきの咲ける籬にのこる春かな
191
權中納言公雄
嘉元の百首の歌奉りし時、山吹
暮果つる春の名殘を惜しとだにえやはいはねの山吹の花
192
權僧正覺圓
春の歌の中に
行く春を惜しとはいはぬ色ながら心にうつる山吹のはな
193
後鳥羽院御製
山吹の花いろ衣さらすてふ垣根や井手のわたりなるらむ
194
前大納言爲氏
弘安元年百首の歌奉りける時
行く春はさてもとまらで山ぶきの花にかけたる井手の柵
195
法皇御製
藤埋松といへる心をよませ給ひける
松が枝はみどりすくなく埋れてむらさきかゝる池の藤浪
196
右近大將房實
題志らず
いく春も花のさかりを松が枝に久しくかゝれ宿の藤なみ
197
三條入道内大臣
二葉より契りおきてや藤浪の木高き松にかゝり初めけむ
198
隆信朝臣
おきつ風吹くとも見えぬ高砂の尾上の松にかゝる藤なみ
199
伊勢
海づらなる家に藤の花のさけりけるをよめる
我が宿の影とぞ頼む藤の花立ちよりくとも浪に折らるな
200
中納言朝忠
天徳四年内裏の歌合に、藤
むらさきに匂ふ藤浪うちはへて松にぞ千世の色も懸れる
201
平兼盛
屏風の繪に、松に藤のかゝれる所
ときはなる花とぞ見ゆる我が宿の松に木高く咲ける藤浪
202
大中臣能宣朝臣
題志らず
櫻花ちりだにせずば大かたの春を惜しとは思はざらまし
203
藤原景綱
行く春の日數に花も移り來て殘りすくなき山ざくらかな
204
山階入道左大臣
寳治二年百首の歌に、惜花
如何にして暫しとゞめむ櫻花ちりなばなげの春の日數を
205
右大臣
題志らず
一かたの別れをせめてとゞめばや花と春との同じ名殘に
206
關白内大臣
百首の歌奉りし時
行く春も猶木の本に立ちとまれ庭の櫻のちりのまがひに
207
前權僧正雲雅
暮春の心を
散りかゝる花を誘ひて行く水の返らぬ浪に春ぞ暮れぬる
208
權大納言兼季
吹きおろす嵐の山に春暮れてゐせきにむせぶ花のしら浪
209
西園寺入道前太政大臣
暮春の心を
散りかゝる花の影見し山の井のあかでも春の暮にける哉
210
後鳥羽院御製
人々に五十首の歌めしけるついでに
徒らに春くれにけり花の色の移るを惜むながめせしまに