風雅和歌集 (Fūga wakashū) — 風雅和歌集卷第十一 戀歌二 作者複数 (Various) 14th Century Fūga wakashū 風雅和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1347 ふうがわかしゅう Fūga wakashū 風雅和歌集 ふうがわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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風雅和歌集 › 風雅和歌集卷第十一 戀歌二 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
風雅和歌集 Fūga wakashū
作者複数 Various
風雅和歌集卷第十一
戀歌二
1028
永福門院
忍待戀の心を
包む中の重ねて聞かぬ契こそまつ物からに頼みがたけれ
1029
戀の御歌の中に
嬉しとも一かたにやは詠めらるゝまつ夜に向ふ夕暮の空
1030
院冷泉
頼まじと思ふ心はこゝろにて暮れ行く空のまた急がるゝ
1031
從三位親子
必ずとさしも頼めぬ夕暮を我れ待ちかねて我ぞかなしき
1032
藤原重能
訪はずとも障るとせめて聞かすなよ待つを頼の夕暮の空
1033
新宰相
待戀を
訪へかしと思ふ心のあらましに頼めぬ暮ぞ空にまたるゝ
1034
伏見院新宰相
戀の歌に
頼まねど頼めし暮は待つと云はむ哀と思ふ方もありやと
1035
前大納言尊氏
寄鐘戀の心を
よしさらばまたじと思ふ夕暮をまたおどろかす入相の鐘
1036
永福門院
戀の歌とて
暮にけり天とぶ雲の往來にも今夜いかにと傳へてしがな
1037
西園寺前内大臣女
待戀
自ら思ひもいでばとばかりの我があらましに待つぞはかなき
1038
前大納言爲兼
百首の歌の中に
頼まねば待たぬになして見る夜半の更行く儘になどか悲しき
1039
前權僧正圓伊
忍待戀の心を
宵の間は誰も人目を包めばと更くるつらさを忘てぞ待つ
1040
先福寺前内大臣女
包む中は人目に障る方や有ると更てしもこそ猶待たれけれ
1041
永福門院
戀の歌とて
頼め捨てゝとはぬはさこそ易くとも待つ心をば思遣らなむ
1042
後伏見院御歌
契明日戀と云ふ事を
いくゆふべむなしき空に飛ぶ鳥の明日必ずと又や頼まむ
1043
進子内親王
戀の歌の中に
見るも憂し流石さこそと待つくれにあす必ずの人の玉章
1044
後照念院前關白太政大臣
面影は心のうちにさき立ちてちぎりし月の影ぞふけぬる
1045
四條太皇大后宮下野
藤原隆方朝臣月のあかゝりける夜下野がつぼねに尋ねまかりたりけるに御まへにいとまいるよし申して侍りけるつとめて、よしさてもまたれぬ身をば置きながら月見ぬ君が名こそをしけれと申しつかはしければ、返し
契らぬに人待つ名こそ惜からめ月計をば見ぬ夜半ぞなき
1046
藤原隆祐朝臣
寳治の百首の歌の中に、寄月戀
更けにける槇の板戸の休らひに月こそ出づれ人は難面し
1047
源和氏
同じ心を
忘れずば夜よしと人に告げず共月見る度に待つと知ならむ
1048
權大納言公宗
更けぬ共誰にか云はむ人知れず待つ夜の月の宵過ぐる影
1049
永福門院
忍待戀の心を
槇の戸を風の鳴すもあじきなし人知れぬ夜の稍更くる程
1050
從三位客子
契待戀
人はいさあだし契の言の葉をまこと 顏にや待ち更けぬらむ
1051
伏見院御歌
戀の歌數多よませ給ひける中に
思取り恨果てゝもかひぞなき頼むれば又待たれのみして
1052
永福門院
歴夜待戀と云ふ事を
我も人も哀れ難面き夜な/\に頼めもやまず待ちも弱らず
1053
題志らず
宣光門院新右衞門督
更けぬれど障ると聞かぬ今夜をば頼の中に待つもはかなし
1054
院御歌
夜戀を
更けぬなり又とはれてと向ふ夜の泪に匂ふともし火の影
1055
土御門院御歌
戀の御歌の中に
妹待つとやまの雫に立ちぬれてそぼちにけらし我が戀衣
1056
伏見院新宰相
待戀の心を
更果てぬ頼めしをさへ忘れてや障るとだにも音づれもなき
1057
二品法親王尊胤
更にこそ明日の契りも頼まれぬ進まぬ方の障りと思へば
1058
進子内親王家春日
さのみやと我さへ果ては難面きに今夜は人に待つと知られじ
1059
從二位爲子
障りあればのち必ずの慰めよ幾たび聞きて幾夜待つらむ
1060
前大納言經顯
慂戀を
強ひてなほ頼みやせまし僞の契もさすがかぎりありやと
1061
權大納言資明
戀の歌の中に
僞の有る世と誰も知りながら契りしまゝを頼むはかなさ
1062
左近大將經教
忍契戀
邂逅の人目の隙を待ちえても思ふばかりは契りやはする
1063
權大納言公宗母
百首の歌奉りし時、戀の歌
積りける程をも人に見ゆばかり待つ夜の床の塵は拂はじ
1064
進子内親王
思ひやる寢覺もいかゞ安からむ頼めし夜半のあらぬ契は
1065
伏見院御歌
戀の御歌の中に
とはずなる今より斯や隔て行かむ今夜計はさて飽かず共
1066
永福門院
待空戀と云ふ事を
云ひし儘の今宵遠はぬ今宵にて又明日ならば嬉しからまし
1067
題志らず
此のくれの心も知らで徒らによそにもあるか我が思ふ人
1068
同院内侍
戀雨を
今日の雨晴るゝも侘し降るも憂し障習ひし人を待つとて
1069
從三位親子
戀の歌の中に
我が方の障を強ひて恨みねば淺かり鳬とつらくこそなれ
1070
前太宰大貳俊兼
院の三十首のうためされし時、戀月
頼めねば來ぬを憂しとは喞たねど斯る月夜を獨見よとや
1071
前右近中將資盛
契不來戀と云ふ事を
中々に頼めざりせば小夜衣返すしるしは見えもしなまし
1072
前大納言爲兼
伏見院の御時六帖の題にて人々に歌よませさせ給ひけるに、一夜隔てたると云ふ事を
夜がれそむる寢待の月のつらさより廿日の影も又や隔てむ
1073
從二位爲子
二夜隔てたる
空しくて又明ぬるよ一夜こそげにも障の有るかとも思へ
1074
西園寺前内大臣女
同じ心を
さり共と今日をば待ちし昨日こそ夜かれになれぬ心なり けれ
1075
賀茂重保
曉の戀を
さりともと猶待つ物を今はとて心よわくぞ鳥はなくなり
1076
進子内親王
戀の歌の中に
空しくて明けつる夜半の怠を今日やと待つに又音もなし
1077
永福門院
待戀の心を
何となく今夜さへこそ待たれけれ逢はぬ昨日の心習ひに
1078
戀の歌とて
とはぬ哉訪べき物をいかに有れば昨日も今日も待たず來ぬ覽
1079
修理大夫顯季
堀川院の百首の歌に、初逢戀を
播磨潟恨みてのみぞ過ぎしかど今夜とまりぬをふの松原
1080
源兼氏朝臣
逢戀
今更に苦しさまさる逢坂をせき越えなばと何おもひけむ
1081
從三位頼政
ある女に始めて物ごしに申し語らひて歸りてあしたにつかはしける
逢ひもせず逢はずも非ぬ今日やさば事有り顏に詠暮さむ
1082
藤原隆信朝臣
大内にて月のあかゝりける夜思ひかけず逢ひたりける女の行くへを問ひ侍りけれども言はざりけるに
心をば雲居の月にとめ乍ら行方も知らずあくがれよとや
1083
讀人志らず
返し
行くへなき月も心しかよひなば雲のよそにも哀とはみむ
1084
太宰大貳重家
初逢戀を
逢ふ事に身をば換へむと云ひしかど偖しも惜しき命なり 鳬
1085
從二位爲子
忍遇戀と云ふ事を
憂き中のそれを情に有りし夜の夢よ見きとも人に語るな
1086
前大納言爲家
女と夜もすがら物語してあしたに云ひつかはしける
生きて世の忘形見と成やせむ夢計りだにぬともなき夜は
1087
安嘉門院四條
返し
あかざりし暗の現を限にて又も見ざらむゆめぞはかなき
1088
永福門院内侍
戀の歌とてよめる
逢ひ見つる今夜の哀夢なれな覺めては物を思はざるべく
1089
從二位爲子
夢とてや語りもせまし人知れず思ふもあかぬ夜半の名殘を
1090
藤原爲基朝臣
夢中遇戀といふ事を
現にも逢はゞかくこそ思寢の夢は覺めても嬉しかりけり
1091
前大納言爲家
女の許にあからさまに罷りて物語りなどして立ち歸りて申しつかはしける
まどろまぬ時さへ夢の見えつるは心に餘る往來なりけり
1092
安嘉門院四條
かへし
魂は現のゆめにあくがれて見しも見えしも思ひわかれず
1093
法印長舜
題志らず
ぬるが内に逢ふと見つるも頼まれず心の通ふ夢路ならねば
1094
前大納言爲家
女のもとへ近き程にあるよし音づれて侍りければ、今宵なむ夢に見えつるは鹽竈のしるしなりけりと申して侍りけるにつかはしける
聞きてだに身こそ焦るれ通ふなる夢の直路のちかの鹽竈
1095
安嘉門院四條
返し
身をこがす契ばかりか徒らに思はぬ中のちかのしほがま
1096
徽安門院一條
忍逢戀
包む内は稀の逢ふ夜も更けはてぬ人の鎭る程を待つまに
1097
後西園寺入道前太政大臣
建治の百首の歌の中に
掻き亂す寢くたれ髮の眉墨もうつりにけりな小夜の手枕
1098
讀人志らず
題志らず
逢ひ難き君に逢へるよ郭公こと時よりはいまこそ鳴かめ
1099
唐あゐのやしほの衣朝な/\なれはすれどもいや珍しき
1100
章義門院
戀の歌の中に
向ふ中のつらくしもなき氣色にぞ日頃の憂さも言はず成ぬる
1101
徽安門院一條
百首の歌奉りし時
我が爲に深き方には云爲せど誰が障る夜のすさびなる覽
1102
新室町院御匣
忍遇戀
哀なり斯る人まの時の間も又いかならむ世にかと思へば
1103
安嘉門院四條
人にだに忍ぶるなかの曉を誰れ知せてかとりの鳴くらむ
1104
徽安門院
戀の歌に
たま/\の今宵一夜は夢にして又幾月日戀ひむとすらむ
1105
後伏見院御歌
別戀の心をよませ給ひける
別れ路を急がぬ鳥の聲よりもまだ空たかき月ぞうれしき
1106
權大納言公宗
同じ心を
憂かりける人こそ有らめ曉の雲さへ峰になどわかるらむ
1107
入道二品親王法守
更けてとふ夜半の殘はすくなきを又歸るさに猶急ぐらむ
1108
左近中將忠季
偖も又いつぞとだにも云ひかねて咽ぶ泪におき別れぬる
1109
永福門院
戀曉と云ふ事を
きぬ%\を急ぐ別は夜深くてまた寢久しきあかつきの床
1110
從三位客子
曉を憂き物とだにしらざりき枕さだめぬゆめのちぎりは
1111
太上天皇
百首の歌の中に
邂逅の夜をさへ分くる方のあれや鳥の音をだに聞かぬ別路
1112
進子内親王
出でがてに又立歸り惜む間に別れの戸口明け過ぎぬなり
1113
從三位親子
戀の歌とてよめる
明けぬるか又はいつかの鳥の音に人の頼めをきく迄もなし
1114
前中納言定家
句のかみに文字を置きてよみ侍りける歌の中に
手を結ぶ程だに飽かぬ山の井のかげはなれ行く袖の白玉
1115
從三位頼政
戀の歌に
明ぬとて鳴く/\歸る道芝の露は我が置く物にぞ有ける
1116
後伏見院御歌
別戀の心を
又や見む又や見ざらむとばかりに面影暮るゝ今朝の別路
1117
前大納言實明女
我ならぬ人もや忍ぶ歸るさの夜深き道に逢へるをぐるま
1118
前大納言爲家
戀の歌の中に
八聲なくかけの垂れ尾の己れのみ長くや人に思ひ亂れむ
1119
進子内親王
名殘をばさすがにかくる玉章に又此の暮もなどか頼めぬ
1120
永福門院
後朝戀を
其儘の夢の名殘のさめぬ間に又同じくば逢ひ見てしがな
1121
從三位親子
いつと待つ日數は暫し慰むを今朝別れぬる今日ぞ侘しき
1122
永福門院内侍
稀に見る夢の名殘はさめ難み今朝しも増る物をこそ思へ
1123
和泉式部
九月ばかり曉歸りける人の許に
人は行き霧はまがきに立ち止りさも中空にながめつる哉
1124
讀人志らず
題志らず
玉ゆらに昨日の夕べ見し物を今日のあしたは戀ふべき物か
1125
藤原元眞
今朝こそは別れて來つれいつの間に覺束なくも思ふなる覽