風雅和歌集 (Fūga wakashū) — 風雅和歌集卷第四 夏歌 作者複数 (Various) 14th Century Fūga wakashū 風雅和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1347 ふうがわかしゅう Fūga wakashū 風雅和歌集 ふうがわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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風雅和歌集 Fūga wakashū
作者複数 Various
風雅和歌集卷第四
夏歌
291
後京極攝政前太政大臣
後鳥羽院よりめされける五十首の歌の中に
昨日まで霞みし物を津の國の難波わたりの夏のあけぼの
292
後伏見院御歌
首夏を
春くれし昨日も同じ淺みどり今日やはかはる夏山のいろ
293
前大納言爲家
寳治の百首の歌の中に、同じ心を
夏きてはたゞ一重なる衣手にいかでか春を立ち隔つらむ
294
式子内親王
正治二年後鳥羽院に奉りける百首の歌の中に
櫻色の衣にもまたわかるゝに春を殘せるやどのふぢなみ
295
後二條院御歌
百首の御歌の中に、更衣を
櫻色の衣はうへにかふれども心にはるをわすれぬものを
296
院御歌
四月の始によませ給ひける
花とりの春におくるゝなぐさめにまづまちすさぶ山郭公
297
從二位家隆
後鳥羽院に奉りける五十首の歌の中に
時鳥まつとせし間にわがやどの池の藤なみ移ろひにけり
298
前中納言定家
千五百番歌合に
時志らぬ里は玉川いつとてか夏のかきねをうづむ志ら雪
299
前大納言經房
前大納言兼宗の家の歌合に、卯花を
朝まだき卯花山を見わたせば空はくもりてつもる志ら雪
300
前大納言爲兼
題志らず
夏淺きみどりの木立庭遠み雨降りしむる日ぐらしのやど
301
權大納言公宗
夏の朝のあめと云ふ事を
薄雲る青葉の山の朝明けに降るとしもなき雨そゝぐなり
302
後一條入道前關白左大臣
夏の歌に
もろ葛まだ二葉よりかけそめて幾世かへぬる賀茂の瑞垣
303
兵衛督
院に三十首の歌召されける時、葵
哀れとや神もみあれに葵草二葉よりこそたのみそめしか
304
前大納言爲家
寳治の百首の歌の中に、待郭公
葵草かざす卯月のほとゝぎすひとの心にまづかゝりつゝ
305
鷹司院按察
我がための聲にもあらじ郭公語らへとしもなど思ふらむ
306
源頼實
四月ばかりに人の許に云ひやりける
待侘びて聞きやしつると郭公人にさへこそ訪はまほしけれ
307
刑部卿頼輔
時鳥を詠める
年を經ておなじ聲なる郭公きかまほしさも變らざりけり
308
徽安門院
年を經ておなじ鳴く音を時鳥何かは忍ぶなにかまたるゝ
309
左兵衛督直義
百首の歌奉りし時
いつとてもまたずは非ねど同じくば山時鳥月になかなむ
310
權大納言公蔭
郭公さやかにをなけ夕月夜雲間のかげはほのかなりとも
311
前大納言資季
後嵯峨院に三首の歌奉けるに河郭公
岩ばしる瀧つ川浪をち歸り山ほとゝぎすこゝになかなむ
312
前大納言爲兼
郭公を
折りはへていまこゝになく時鳥きよく凉しき聲の色かな
313
右近大將道嗣
待ちえてもたどるばかりの一聲は聞きてかひなき郭公哉
314
入道二品親王尊圓
里郭公と云ふ事を
呉竹のふしみの里のほとゝぎす忍ぶ二代の事かたらなむ
315
前大納言爲兼
伏見院に卅首の歌奉ける時、聞郭公
時鳥人のまどろむ程とてや忍ぶるころはふけてこそなけ
316
前中納言爲相
題志らず
我が爲と聞きやなさまし霍公ぬしさだまらぬ己が初音を
317
京極前關白家肥後
堀川院に奉りける百首の歌に、郭公を
山深く尋ねきつればほとゝぎす忍ぶる聲も隱れざりけり
318
前中納言定家
夏の歌の中に
忘られぬこぞのふる聲戀ひ/\て猶めづらしき郭公かな
319
俊頼朝臣
連夜待郭公と云ふ事を
時鳥待つ夜の數はかさなれど聲は積らぬ物にぞありける
320
前參議俊言
聞郭公を
郭公あかぬなごりを詠めおくる心もそらに慕ひてぞゆく
321
藤原爲基朝臣
猶ぞまつ山時鳥一こゑのなごりをそらにしばしながめて
322
鎌倉右大臣
足びきの山郭公深山出でゝ夜ふかき月のかげになくなり
323
式子内親王
正治二年後鳥羽院に奉りける百首の歌の中に
時鳥よこ雲かすむ山の端のありあけの月になほぞ語らふ
324
伏見院御歌
夏の御歌の中に
郭公なごりしばしのながめより鳴きつる峰は雲あけぬなり
325
祝部成仲
ひえの山にあひ知りたる僧の、里へいでば必おとせむと契り侍りけるに、里には出でながら音せず侍りければ、四月十日頃に遣はしける
里なるゝ山郭公いかなればまつやどにしも音せざるらむ
326
正三位季經
尋郭公歸路聞と云ふ事を
尋ねつるかひはなけれど時鳥かへる山路に一こゑぞ鳴く
327
後鳥羽院御歌
題志らず
尋ね入るかへさはおくれ時鳥誰れゆゑ暮す山路とかしる
328
前中納言定家
等閑に山ほとゝぎす鳴きすてゝ我しもとまる杜の下かげ
329
藤原仲實朝臣
夕かけていづち行くらむ郭公神なびやまに今ぞ鳴くなる
330
貫之
延喜の御時古今集撰び始められけるに夜更くるまで御前にさぶらふに時鳥の鳴きければ
こと夏は如何鳴きけむ郭公今宵ばかりはあらじとぞ聞く
331
從三位頼政
郭公を
時鳥あかで過ぎぬる名殘をば月なしとても詠めやはせぬ
332
待賢門院堀川
訪ふ人もなき故郷の黄昏にわれのみ名のるほとゝぎす哉
333
前中納言定家
千五百番歌合に
またれつゝ年にまれなる郭公さつきばかりの聲な惜みそ
334
前大納言尊氏
題志らず
菖蒲をば吹添ふれ共梅雨の古やの軒は洩るにぞありける
335
前大納言經繼
あやめ草ひく人もなし山しろのとはに波こす五月雨の頃
336
前大納言經親
伏見院の御時五十番歌合に夏雨をよみ侍りける
樗さく梢に雨はやゝはれて軒のあやめにのこるたまみづ
337
院冷泉
夏の歌の中に
菖蒲つたふ軒のしづくも絶々に晴間にむかふ五月雨の空
338
左近中將忠季
百首の歌奉りし時
夕月夜かげろふ窓は凉しくて軒のあやめに風わたる見ゆ
339
前大納言公泰
暮れかゝる外面の小田の村雨に凉しさそへてとる早苗哉
340
前大僧正慈鎭
早苗を
まだとらぬ早苗の葉末靡くなりすだく蛙の聲のひゞきに
341
從二位行家
寳治の百首の歌の中に、同じ心を
三輪川の水堰入れて大和なる布留のわさ田は早苗取る也
342
冷泉前太政大臣
今よりは五月きぬとや急ぐ覽山田の早苗取らぬ日ぞなき
343
前參議忠定
早苗とる田面の水の淺みどりすゞしきいろに山風ぞ吹く
344
藤原爲忠朝臣
百首の歌奉りし時
夕日さす山田のはらを見渡せば杉の木蔭に早苗とるなり
345
後伏見院御歌
夏の御歌に
小山田や早苗の末に風みえて行くて凉しきすぎの下みち
346
太上天皇
風わたる田面の早苗色さめていり日殘れる岡のまつばら
347
進子内親王
早苗とる山もと小田に雨はれて夕日の峯をわたるうき雲
348
院一條
雨晴るゝ小田の早苗の山もとに雲おりかゝる杉のむら立
349
從二位爲子
山家五月雨をよみ侍りける
山蔭や谷よりのぼる五月雨の雲は軒まで立ちみちにけり
350
後山本前左大臣
嘉元の百首の歌に、五月雨を
蛙鳴くぬまの岩がき浪こえてみくさうかるゝ五月雨の頃
351
參議雅經
千五百番歌合に
五月雨にこえ行く波は葛飾やかつみがくるゝまゝの繼橋
352
權中納言公雄
題志らず
あすか川ひとつ淵とやなりぬらむ七瀬の淀の五月雨の頃
353
正二位隆教
河五月雨を
五月雨にきしの青柳枝ひぢて梢をわたるよどのかはぶね
354
源俊平
寳治の百首の歌の中に、溪五月雨
流れ添ふ山の志づくの五月雨に淺瀬も深きたにがはの水
355
藤原清輔朝臣
夏の歌とて
田子の浦の藻鹽も燒かぬ梅雨に絶えぬは富士の烟なり けり
356
兵部卿成實
河やしろ志のに波こす梅雨に衣ほすてふひまやなからむ
357
法印定爲
後宇多院に奉りける百首の歌の中に
五月雨の晴間待ち出づる月影に軒のあやめの露ぞ凉しき
358
後京極攝政前太政大臣
題志らず
五月雨の空をへだてゝ行く月の光はもらでのきのたま水
359
二品法親王承覺
五月雨にあたら月夜を過しきて晴るゝかひなき夕闇の空
360
修理大夫顯季
盧橘を
我宿の花橘やにほふらむやまほとゝぎすすぎがてに鳴く
361
民部卿爲藤
文保三年後宇多院へ奉りける百首の歌の中に
月影に鵜舟のかゞりさしかへて曉やみの夜がはこぐなり
362
中務卿宗尊親王
鵜川を
大井河鵜舟はそれとみえわかで山もと廻るかゞり火の影
363
前大納言爲氏
弘安の百首の歌奉りける時
牡鹿待つさつをの火串ほの見えてよそに明行く端山繁山
364
藤原義孝
照射をよみ侍りける
五月やみそことも知らぬ照射すと端山が裾に明しつる哉
365
皇太后宮大夫俊成
千五百番歌合に
ますらをや端山わくらむともし消ち螢にまがふ夕暗の空
366
永福門院
三十首の御歌の中に、夏鳥と云ふ事を
かげ志げき木の下やみの暗き夜に水の音して水鷄鳴くなり
367
後伏見院御歌
水鷄を
心ある夏の景色の今宵かな木の間の月にくひなこゑして
368
前大納言實明女
百首の歌奉りし時
水鷄鳴く森一むらは木ぐらくて月に晴れたる野べの遠方
369
郁芳門院安藝
夏の歌の中に
槇の戸をしひてもたゝく水鷄哉月の光のさすと見る/\
370
祝子内親王
松の上に月の姿も見えそめて凉しくむかふ夕ぐれのやま
371
後京極攝政前太政大臣
雨晴るゝ軒の雫にかげ見えてあやめにすがる夏の夜の月
372
前關白右大臣
茂りあふ庭の梢を吹き分けて風に洩りくる月のすゞしさ
373
前中納言重資
百首の歌奉りし時
うたゝねに凉しき影を片しきて簾は月のへだてともなし
374
從三位盛親
夏の歌の中に
はしちかみ轉寢ながら更くる夜の月の影しく床ぞ凉しき
375
伏見院新宰相
秋よりも月にぞなるゝ凉むとて轉寢ながら明すよな/\
376
前大僧正道意
山水の岩洩る音もさ夜ふけて木の間の月の影ぞすゞしき
377
藤原隆祐朝臣
宵のまに暫し漂ふ雲間より待ち出でゝ見れば明くる月影
378
賀茂重保
水上夏月を
夏の夜は岩がき清水月冴えてむすべばとくる氷なりけり
379
後京極攝政前太政大臣
雨後夏月と云ふ事を
夕立の風にわかれて行く雲に後れてのぼる山の端のつき
380
後鳥羽院御歌
千五百番歌合に
まだ宵の月待つとても明けにけり短き夢の結ぶともなく
381
伏見院御歌
夏の御歌の中に
月や出づる星の光の變るかな凉しきかぜの夕やみのそら
382
すゞみつる數多の宿も靜まりて夜更けて白き道のべの月
383
從二位爲子
夏夜と云ふ事を
星多み晴れたる空は色濃くて吹くとしもなき風ぞ凉しき
384
小野小町
題志らず
夏の夜の侘しき事は夢をだに見る程もなく明くるなり けり
385
寂蓮法師
千五百番歌合に
古への野寺のかゞみ跡絶えて飛ぶ火は夜半の螢なりけり
386
前關白左大臣基
百首の歌奉りし時
底清き玉江の水にとぶ螢もゆるかげさへすゞしかりけり
387
式部卿恒明親王
螢を
月うすき庭の眞清水音澄みてみぎはの螢かげみだるなり
388
順徳院御歌
池水は風もおとせで蓮葉のうへこす玉はほたるなりけり
389
後一條入道前關白左大臣
螢とぶかた山蔭の夕やみは秋よりさきにかねてすゞしき
390
皇太后宮大夫俊成女
寳治の百首の歌の中に、水邊螢
秋ちかし雲居までとや行く螢澤邊のみづにかげの亂るゝ
391
式子内親王
正治二年後鳥羽院に奉りける百首の歌の中に
秋風とかりにやつぐる夕ぐれの雲近きまで行くほたる哉
392
凉しやと風の便りを尋ぬれば茂みに靡く野邊のさゆりば
393
如願法師
夏の歌の中に
山ふかみ雲消えなばと思ひしに又道絶ゆるやどの夏ぐさ
394
後鳥羽院御歌
建仁四年、百首の御歌の中に、夕立
片岡の棟なみより吹く風にかつ%\そゝぐゆふだちの雨
395
同院宮内卿
千五百番歌合に
衣手に凉しき風をさきだてゝ曇りはじむるゆふだちの空
396
前大納言爲家
寳治の百首の歌の中に、夕立
山もとの遠の日影はさだかにてかたへ凉しき夕だちの雲
397
前大納言經顯
百首の歌奉りし時、夏の歌
外山には夕立すらし立ちのぼる雲よりあまる稻妻のかげ
398
前大納言爲兼
題志らず
松を拂ふ風は裾野の草に落ちてゆふだつ雲に雨きほふ也
399
徽安門院
行きなやみ照る日苦しき山道にぬるともよしや夕立の雨
400
前太宰大貳俊兼
院に三十首の歌召されし時、夏木を
虹のたつ麓の杉は雲に消えて峯より晴るゝ夕だちのあめ
401
徽安門院小宰相
夕立を
降りよわる雨を殘して風はやみよそになり行く夕立の雲
402
宣光門院新右衛門督
夏の歌の中に
夕立の雲吹きおくるおひ風に木末のつゆぞまた雨と降る
403
院御歌
百首の御歌の中に
夕立の雲飛びわくる白鷺のつばさにかけて晴るゝ日の影
404
後西園寺入道前太政大臣
文保三年後宇多院に百首の歌奉りける時、夏の歌
月うつるまさごの上のにはたづみ跡まで凉し夕だちの雨
405
後山本前左大臣
更に又日影うつろふ竹の葉に凉しさ見ゆるゆふだちの跡
406
藤原爲守女
題志らず
降るほどは志ばしとだえて村雨の過ぐる梢の蝉のもろ聲
407
今上御歌
夏聲と云ふ事を
風高き松の木蔭に立ちよれば聞くも凉しき日ぐらしの聲
408
進子内親王
蝉を
雨晴れて露吹きはらふ木ずゑより風にみだるゝ蝉の諸聲
409
二品法親王尊胤
夏の歌の中に
蝉の聲は風にみだれて吹き返す楢のひろ葉に雨かゝるなり
410
式部卿恒明親王
暮れはつる梢に蝉は聲やみてやゝかげ見ゆる月ぞ凉しき
411
院御歌
百首の御歌の中に
空晴れて梢色濃き月の夜のかぜにおどろくせみの一こゑ
412
藤原隆信朝臣
後京極攝政、左大臣に侍りける時、家に六百番歌合し侍りけるに、蝉をよめる
鳴きすさぶ隙かときけば遠近にやがて待ちとる蝉の諸聲
413
伏見院新宰相
納凉を
鳴く蝉の聲やむ杜に吹く風の凉しきなべに日も暮れぬなり
414
藤原爲秀朝臣
夕附日梢によわく鳴く蝉のはやまのかげは今ぞすゞしき
415
皇太后宮大夫俊成女
建仁三年、影供歌合に、雨後聞蝉と云ふ事を
雨晴れて空ふく風に鳴く蝉の聲もみだるゝもりの下つゆ
416
曾禰好忠
題志らず
芦の葉に隱れて住めば難波なるこやの夏こそ凉しかりけれ
417
平政村朝臣
中務卿宗尊親王の家の百首の歌に
夏山の茂みが志たに瀧落ちてふもとすゞしき水の音かな
418
覺譽法親王
深夜納凉を
吹分くる梢の月はかげふけてすだれにすさぶ風ぞ凉しき
419
後鳥羽院御歌
夏の御歌の中に
みだれ芦の下葉なみより行く水の音せぬ波の色ぞ凉しき
420
今出川入道前右大臣
題志らず
風通ふ山松がねの夕すゞみ水のこゝろもくみてこそ知れ
421
從二位兼行
夏の日の夕影おそき道のべに雲一むらの志たぞすゞしき
422
祝子内親王
日の影は竹より西にへだゝりて夕風すゞし庭のくさむら
423
權律師慈成
山川のみなそこきよき夕波に靡く玉藻ぞ見るもすゞしき
424
權大納言公蔭
山もとや木の志ためぐる小車の簾うごかす風ぞすゞしき
425
進子内親王
夜納凉といふことを
もりかぬる月はすくなき木の下に夜深き水の音ぞ凉しき
426
從二位兼行
題志らず
苔青き山の岩根の松かぜにすゞしくすめるみづの色かな
427
前大僧正慈鎭
夏深き峯の松が枝風こえて月かげすゞしありあけのやま
428
寂蓮法師
淺茅生に秋まつ程や忍ぶらむ聞きもわかれぬむしの聲々
429
永福門院
草の末に花こそ見えね雲風も野分に似たるゆふ暮のあめ
430
大納言通方
夏月を
結ぶ手に月をやどして山の井のそこの心に秋や見ゆらむ
431
前左大臣
晩風似秋と云ふ事を
松に吹く風も凉しき山陰に秋おぼえたる日ぐらしのこゑ
432
伏見院御歌
夏の御歌の中に
鳴く聲も高き梢のせみのはの薄き日影にあきぞちかづく
433
權中納言公雄
文保三年後宇多院に奉りける百首の歌の中に
御祓する河瀬の浪の白ゆふは秋をかけてぞ凉しかりける
434
圓光院入道前關白太政大臣
六月祓を
御祓するゆくせの波もさ夜ふけて秋風近し賀茂の川みづ
435
順徳院御歌
湊川夏の行くては知らねども流れて早き瀬々のゆふしで