金葉和歌集

Kin'yō wakashū

作者複数 Various

金葉和歌集卷第五
賀歌

326

堀河院御製

長治二年三月五日内裏にて竹不改色といへることをよませ給うける

世々ふれど面變りせぬ河竹はながれての世の例なりけり
327

六條右大臣

郁芳門院の根合に祝の心をよめる

萬代はまかせたるべし石清水ながき流れを君によそへて
328

大納宮俊實

堀河院の御時中宮はじめて遷御の時松契遐年といへる事をよめる

水の面に松の志づえのひぢぬれば千歳は池の心なりけり
329

中納言實行

禁中翫花といへる心をよめる

九重に久しくにほへ八重櫻のどけき春のかぜと志らずや
330

源師俊朝臣

花契遐年といへる事をよめる

萬代とさしてもいはじさくら花かざゝむ春の限なければ
331

藤原國行

橘俊綱の朝臣の家の歌合に祝の心をよめる

自ら我身さへこそ祝はるれ君が千世にも逢はまほしさに
332

源俊頼朝臣

百首の歌の中に祝の心をよめる

君が代は松の上葉におく露の積りて四方の海となるまで
333

大納言經信

祝の心をよめる

君が代の程をば志らで住吉の松をひさしと思ひけるかな
334

永成法師

後一條院の御時弘徽殿の女御の歌合に祝の心をよめる

君が代は末の松山はる%\とこす白浪のかずも志られず
335

堀河院御製

嘉承二年三月鳥羽殿の行幸に池上花といへる事をよませ給ひける

池水の底さへ匂ふ花ざくらみるともあかじ千世の春まで
336

藤原行盛

大甞會の主基方、辰の日參入音聲に皷山をよめる

音たかき皷の山の打ちはへて樂しき御代となるぞ嬉しき
337

藤原敦光朝臣

悠紀方の朝日の里をよめる

曇りなき豐のあかりに近江なる朝日のさとは光さしそふ
338

巳日の樂の破に雄琴の里をよめる

松風の雄琴の里にかよふにぞをさまれる世の聲は聞ゆる
339

藤原家經朝臣

後冷泉院の御時の大甞會の主基方、備中國二萬郷をよめる

みつぎ物はこぶよぼろを數ふればにまの里人數そひに鳬
340

高階明頼

同じ國いな井のさとを人にかはりてよめる

苗代の水はいな井に任せたり民やすげなる君が御代かな
341

皇后宮肥後

祝の心をよめる

いつとなく風ふく空にたつ塵の數も志られぬ君が御代哉
342

太宰大貳長實

花契遐年といへる事をよめる

花もみな君が千年をまつなれば何れの春か色もかはらむ
343

周防内侍

攝政左大臣、中將にて侍りける頃春日祭の使にくだりけるに周防内侍女使にてくだりけるに爲隆卿行事の辨にて侍りけるがもとにつかはしける

いかばかり神も哀れと三笠山二葉の松の千代のけしきを
344

藤原道經

題志らず

君が代はいく萬代かかさぬべきいつぬき川のつるの毛衣
345

中納言通俊

宇治前太政大臣の家の歌合に祝の心をよめる

君が代は天つ兒屋根の命より祝ひぞ初めし久しかれとは
346

大藏卿匡房

君が代はくもりもあらじ三笠山みねに明日のさゝむ限は
347

大夫典待

新院の北側にて藤花久匂といへる事をよめる

藤浪は君が千年を松にこそかけて久しくみるべかりけれ
348

源忠季

祝の心をよめる

君が代は富のを川の水すみて千年をふ共絶えじとぞ思ふ
349

藤原爲忠

實行卿の家の歌合に祝の心をよめる

瑞がきの久しかるべき君が代を天照神やそらにしるらむ
350

宇治前太政大臣

前の中宮始めて内へまゐらせ給ひける夜[1]雲5のふりて侍りければ六條右大臣のもとへ遣はしける

雪積る年のしるしにいとゞしく千年の松の花さくぞみる
351

六條右大臣

かへし

つもるべし雪積るべし君が代は松の花さく千度みるまで
352

後冷泉院御製

天喜四年皇后宮の歌合に祝の心をよませ給うける

長濱の眞砂の數も何ならずつきせずみゆる君が御代かな
353

源頼家朝臣

松上雪をよめる

萬代の例とみゆる松の上に雪さへつもる年にもあるかな
354

源俊頼朝臣

前齋宮伊勢におはしましける頃石などりのいしあはせといへる事をせさせ給ひけるに祝のこゝろをよめる

曇りなく豐さかのぼる朝日には君ぞつかへむ萬代までに
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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