金葉和歌集

Kin'yō wakashū

作者複数 Various

金葉和歌集卷第六
別離歌

355

大納言經長

兼房の朝臣丹後守にてくだりけるにつかはしける

君うしや花のみやこの花をみて苗代水にいそぐこゝろは
356

藤原兼房朝臣

かへし

よそにきく苗代水に哀れわがおりたつ名をも流しつる哉
357

堀川右大臣

重尹、帥になりてくだり侍るに人々うまのはなむけし侍りける時よめる

かへるべきたびの別となぐさむる心にたがふ涙なりけり
358

讀人志らず

題志らず

後れゐて我がこひをれば白雲のた靡く山を今日やこゆ覽
359

前太宰大貳長房朝臣

經輔卿つくしへくだり侍りけるにぐしてくだりけるに道より上東門院に侍りける人につかはしける

かたしきの袖に獨はあかせどもおつる涙ぞ夜を重ねぬる
360

上東門院

是を御覽じてかたはらにかきつけさせ給ひける

別路をげにいか計歎くらむ聞く人さへぞそでは濡れける
361

源爲成

源公定が大隈守になりてくだりける時月あかゝりける夜わかれを惜みてよめる

はるかなる旅の空にもおくれねば羨ましきは秋の夜の月
362

共政朝臣妻

對馬守にて小槻のあきみちが下りける時つかはしける

おきつ島雲居のきしをゆき返りふみかよはさむ幻もがな
363

參議師頼

としよりが伊勢へまかることありてくだりけるとき人々うまのはなむけし侍りける時よめる

伊勢の海をのゝふるえに朽果てゞ都の方へ歸れとぞ思ふ
364

源行宗朝臣

待ちつけむ我身なりせば歸るべき程を幾度君にとはまし
365

中納言國信

百首の歌の中に別の心をよめる

今日はさは立別るとも便あらばありやなしやの情忘るな
366

藤原基俊

秋ぎりの立別れぬる君によりはれぬ思にまどひぬるかな
367

藤原實綱朝臣

橘爲仲朝臣みちのくにゝくだりけるに人々うまのはなむけし侍りけるによめる

人はいさ我世は末に成りぬれば又逢坂もいかゞまつべき
368

藤原有定

戀しさは其人數にあらずとも都をしのぶうちにいれなむ
369

中納言通俊

經平卿にぐして筑紫へくだるとて遣はしける

さしのぼる朝日に君を思ひ出むかたぶく月に我を忘るな
370

春宮大夫公實

かへし

朝日とも月ともわかず束のまも君を忘るゝ時しなければ
371

橘則光朝臣

みちのくにへまかりけるにあふさかの關よりみやこへつかはしける

われ獨いそぐと思ひし東路に垣根の梅はさきだちにけり
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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