新後撰和歌集 (Shin Gosen wakashū) — 新後撰和歌集卷第十三 戀歌三 作者複数 (Various) 1303 Shin Gosen wakashū 新後撰和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1303 しんごせんわかしゅう Shin Gosen wakashū 新後撰和歌集 しんごせんわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新後撰和歌集 Shin Gosen wakashū
作者複数 Various
新後撰和歌集卷第十三 戀歌三
957
從二位家隆
後京極攝政の家の六百番歌合に
偖もなほ人の心を志らぬまは契るさへこそ思ひなりけれ
958
今上御製
忍契戀といふ事をよませたまひける
誠かと又おしかへし問ふ程の人目のひまもなき契りかな
959
前大納言爲家
山階入道左大臣の家の十首の歌に、寄心戀
僞のある世悲しき心こそたのまじとだにおもひさだめね
960
鷹司院帥
中務卿宗尊親王の家の百首の歌に
頼め置く人の契ぞあり果てぬ命待つまもうたがはれける
961
院御製
戀の心を
逢事を志らぬ頼みはかひなくて契計りに身をや換へてむ
962
前中納言定家
後京極攝政の家の六百番歌合に
味氣なし誰もはかなき命もて頼めば今日の暮をたのめよ
963
從一位[6]A 6 子
題志らず
人傳ての僞りにだにおのづから哀をかくる言のはもがな
964
遊義門院權大納言
内裏に百首の歌奉りし時、切戀
契しもあらぬ世にとはきかざりき戀死なでまつ命共がな
965
法印定圓
契戀
さならではたのめも置かじ僞のある世ぞ人の情なりける
966
藤原光盛
僞を頼までもまたいかゞせむ兼ねて志らるゝ誠ならねば
967
素暹法師
いつはりと思ひながらや契るらむ志らばや人の下の心を
968
前參議能清
中務卿宗尊親王の家の百首の歌に
おのづから僞ならぬ契りをも我が心とやたのまざるらむ
969
平宗宣
題志らず
頼むるを命になしてすぐす身は僞りかともよしや思はじ
970
高階成朝
さのみまた人の心をうたがはゞ我が僞りの程や志られむ
971
前中納言資高
僞りの言の葉ぞとて頼まずばうき身に契る人やなからむ
972
前中納言俊光
げに思ふ心の底の知られねば契るまゝにもえやは頼まむ
973
按察使實泰
さり共と思ひ乍らも待つほどは猶身のうさに疑はれつゝ
974
津守國道
僞を頼むにこそはなりもせめ待たずと爭で人にきかれむ
975
近衛關白左大臣
契りしを人の誠と頼みてもまたいかならむゆふぐれの空
976
安嘉門院大貳
待ち見ばやよも僞になりはてじ強ひてたのめし夕暮の空
977
賀茂久世
さりともと此夕暮を待たるゝやいひしを頼む心なるらむ
978
法眼源承
となせ川越す筏士のみなれ棹さして頼めし暮ぞまたるゝ
979
前大納言實冬
暮るゝ間をはかなく急ぐ心かなあふにかへむと誓ふ命に
980
院御製
忘れても訪はずもぞなる契置きし暮ぞと人に驚かさばや
981
前僧正道性
思へたゞ頼めぬだにも待たるゝに今宵といひし心盡しは
982
大藏卿隆博
僞を思ひ知らぬになし果てゝ又なほざりの暮を待つかな
983
賀茂經久
契りしは唯なほざりの夕べともしらで待ちける程ぞ儚き
984
法印定爲
百首の歌奉りし時、待戀
今宵だにいかに夕けの占ぞ共聞き定めてや人をまたまし
985
讀人志らず
戀の歌の中に
更けにけるうらみや猶も殘るべき僞ならぬ今宵なりとも
986
津守國助
人目よく道はさこそと思へ共慰めがたく更くる夜半かな
987
前參議實時
思ひやれ空頼めせぬ月だにも待つは心をつくすものとは
988
法眼兼譽
待ち侘びて更け行く月の影のみや寐ぬ夜の袖の泪とふ覽
989
平宗泰
更けぬるは來ぬ人故に憂き物を待たれ顏にも出づる月哉
990
藤原親方
掻暮す泪しなくば來ぬ人のつらさにかへて月も見てまし
991
昭慶門院一條
百首の歌奉りしとき、待戀
更けぬ共暫しはまたむ山の端の月みて後も思ひいづやと
992
九條左大臣女
題志らず
頼めても來ぬ人つらきよひ/\に僞知らで出づる月かな
993
今上御製
月前待戀といへる心を
僞に更け行く程のしらるれば待つ夜の月の影はながめじ
994
典侍親子朝臣
おなじ心を
頼めしは今夜もいかに成ぬらむ更けぬる物を山の端の月
995
參議雅經
千五百番の歌合に
山の端に入るまで月を詠むともしらでや人の有明のそら
996
後嵯峨院御製
寄月戀を
かへるさの別のみかはまつ人のつれなきもうき有明の空
997
藤原爲藤朝臣
百首の歌奉りし時、待戀
更ぬればせめて頼みのなき儘に今宵もあすの暮ぞ待るゝ
998
前大納言資季
弘長三年内裏の百首の歌奉りける時、寄戸戀
訪るべき其あらましに槇の戸を頼めぬよはもさゝで明ぬる
999
參議雅經
寄鳥戀
待侘びてこぬ夜空しく明けゆけば泪數そふ鴫のはねがき
1000
待賢門院堀河
久安の百首の歌に
頼めずばうき身のとがと歎きつゝ人の心を恨みざらまし
1001
前大僧正道瑜
題志らず
たのめぬを我心よりまち兼て人のうきにや思ひなすべき
1002
平時常
たのまじと思ひなりても僞にかはらでまつは心なりけり
1003
左近中將具氏
うかりける人の言の葉歎けとてなど僞の有る世なるらむ
1004
左近中將冬基
契しに變ると聞くもつらからず偖も問るゝ習はなければ
1005
法印圓伊
うらみじよ思へば人のこぬ迄も情にこそは契り置きけめ
1006
按察使實泰
百首の歌奉りし時、待戀
慰むる我あらましに待慣れてさのみねぬよの數や重ねむ
1007
後嵯峨院御製
寳治の百首の歌めしけるついでに、寄關戀
聞く度に勿來關の名もつらし行ては歸る身に知られつゝ
1008
權大納言師重
五首の歌合に、來不留戀
待ちえてもやがて別の夕こそとふさへつらき契なりけれ
1009
前大納言經任
月前逢戀といふ事を
獨寐の床に馴れこし月影をもろ共にみるよはも有りけり
1010
中務卿宗尊親王家小督
戀の歌の中に
つらかりし時社あらめ逢見ての後さへ物はなどや悲しき
1011
前大僧正深惠
歎きわび逢ふにかへむと思ひしはうかりし迄の命なり けり
1012
前大僧正聖兼
忍會戀を
うつゝとも思ひ定めぬ逢ふ事を夢にまがへて人に語るな
1013
從二位家隆
題志らず
君も又あふとみる夜の夢ならば誰れ別れのまづはさむ覽
1014
前大僧正慈鎭
嬉しさを今夜つゝまむ爲とてや袖は泪にくちのこりけむ
1015
中臣祐賢
忘られむ後の浮名を思ふにも逢ふとはよその人にしられじ
1016
光俊朝臣
前大納言爲家日吉の社にて歌合し侍りけるに、寄枕忍戀
忍ぶ山岩ねの枕かはすともした行く水のもらさずもがな
1017
大藏卿重經
戀の歌の中に
いかゞせむ待つ程過て更くる夜に頓て名殘の惜しき別を
1018
尚侍藤原現子朝臣
五首の歌合に、來不逢戀
通ひくる名のみ荒磯の濱千鳥跡はしばしもなどか止めぬ
1019
權中納言國信
別戀の心を
心ある鳥のねならばいか計今ひとゝきもうれしからまし
1020
讀人志らず
別るればおなじ心にうしとのみゆふ附鳥のねをぞ恨むる
1021
大江頼重
曉の別れもしらぬ鳥の音は何のつらさに鳴きはじめけむ
1022
法眼源承
せめて猶後の世をこそ頼めつれ存らへぬべき別ならねば
1023
平盛房
あだになど思ひそめけむ朝露のおき別れてもきえぬ命を
1024
大納言通具
千五百番の歌合に
曉の床は草葉のなになれや露にわかれのなみだそふらむ
1025
寂蓮法師
後京極攝政の家の六百番の歌合に
逢ふまでの思はこと の數ならで別れぞ戀のはじめなりける
1026
源親長朝臣
題志らず
あぢきなく又有明やつらからむこれを限の別れならずば
1027
大江茂重
歸るさの忘れがたみの袖の月それも止らず明くる空かな
1028
藻壁門院少將
洞院攝政の家の百首の歌に、後朝戀
有明の月はかたみに頼まれず暮まつ迄の身にもそはねば
1029
前大納言教良
題志らず
ながらへて又あふ事も知らぬ身は是やかたみの有明の月
1030
前大納言實教
形見とて我れこそみつれ面影を人はのこさぬ有明のつき
1031
前大僧正慈鎭
うつゝこそ今朝は中々悲しけれ歸る恨みは夢に見ざりき
1032
俊惠法師
我ならぬ葛の裏葉もけさみれば歸るとて社露もこぼるれ
1033
式乾門院御匣
分けわびぬ袖の別のしのゝめに泪おちそふ道しばのつゆ
1034
祝部成良
もらすなよ道のさゝ原ふみ分けし一夜のふしの露の手枕
1035
平久時
ありしよの後はたがひに忍びきてかよふ心もしらぬ中哉
1036
近衞關白左大臣
弘長三年内裏の百首の歌奉りける時、寄水戀
逢ひみてもはかなき物は行く水に數かきとめぬ契なり けり
1037
尚侍藤原現子朝臣
戀の歌の中に
一すぢに頼む心のなくもがな變らばつらき身とも社なれ
1038
前大納言爲氏
文永七年九月盡、内裏の三首の歌に、契戀
代々かけて波こさじとは契るともいさや心のすゑの松山
1039
從三位隆教
題志らず
淺くとも頼みこそせめ泪川さても逢ふせの變り果てずば
1040
藤原泰基
逢ふ事を猶や頼まむかた糸のくる夜まれなる契なりとも
1041
從三位光成
誰が方に心をかけて下ひもの稀にあふよもむすぼゝる覽
1042
内大臣
遠戀の心を
思ひやる人の心をへだてずばいくへもかゝれ峯の志ら雲
1043
藤原爲信朝臣
尋ねても行方志るべき契かはもろこし舟のあとの志ら波
1044
從三位氏久
戀の歌の中に
渡つみの底と知てもいかゞせむみるめは己が心ならねば
1045
前中納言定家
後京極攝政の家の六百番の歌合に
面影はをしへしやどに先だちてこたへぬ風の松にふく聲
1046
源有長朝臣
題志らず
徒らにきえ歸るとも知らせばや行きてはきぬる道芝の露
1047
權大納言師信
徒らに待ちみる人もなかりけりとひて苦しき三輪の山本
1048
藤原親盛
前參議範長の家の歌合に、隔河戀
いもがすむ宿のこなたの衣川渡らぬをりも袖ぬらしけり
1049
權中納言經平
題志らず
住吉の岸のあだ浪かけてだに忘るゝ草はありと志らすな
1050
順徳院御製
濱千鳥通ふ計の跡はあれどみぬめの浦にねをのみぞ鳴く
1051
鎌倉右大臣
我がせこを松浦の山の葛かづら邂逅にだにくる由もなし
1052
藤原雅顯
里のあまの假初なりし契より頓てみるめの便りをぞとふ
1053
平時村朝臣
晩風催戀といふ事を
驚ろかす風につけてもこぬ人のつらさぞまさる秋の夕暮
1054
太宰權帥爲經
はじめて物申しける女のあとなき夢になしてよと申しければつかはしける
行く末をかけて契りし現をば跡なき夢といかゞなすべき
1055
讀人志らず
返し
見し夢のわすられぬだにうき物を何か現になして歎かむ
6 [6] The kanji in place of A is not available in the JIS code table. The kanji is Morohashi's kanji number 24776.