新後拾遺和歌集

Shin Goshūi wakashū

作者複数 Various

新後拾遺和歌集卷第九
離別歌

844

權中納言敦忠

題志らず

行き歸る物と知る/\怪しくも別と云へば惜まるゝかな
845

中務

行く人にそふる心の怪しくも知るべなごとをまどはるゝ哉
846

中納言兼輔

大江のちふるが美濃へいきけるにきぬ遣すとて

もろともに惜む別の唐衣かたみばかりぞまづそぼちける
847

源兼澄

題志らず

行く人は思ひやすつるとまる身はそれぞ別のしづ心なき
848

藤原高範

遠き國へまかりける時あとの事などを申し置きける人の許に詠みて遣しける

尋ね見よ和歌の浦路の友千鳥立ち離れ行く跡はいかにと
849

讀人志らず

友だちの遠き國へまかりけるに詠める

志たひえぬ名殘にそへて思ふかな歸らむ程の心づくしを
850

中務卿宗尊親王

旅にまかりける人に

さらぬ世のならひをつらき限にて命の内は別れずもがな
851

女御徽子女王

琴習ひ侍りける人のみちの國に下りけるに裝束遣すとて

今よりはたゞ行く末の松風をよその事とや思ひなしてむ
852

花山院御製

實方朝臣みちの國へ下り侍りける時給はせける

何事も語らひてこそ過しつれいかにせよとて人の行く覽
853

貫之

信濃へ下りける人に大納言師氏の餞し侍りけるに詠める

君が行くところと聞けば月見つゝ姨捨山ぞ戀しかるべき
854

中宮大夫公宗母

題志らず

志のべとや空行く月に契らまし誰が慕ふべき別ならねど
855

藤原行朝

法印實性あづまに下りて歸りのぼりけるに申し贈り侍りける

行く人の心とめずば足柄のせきもる神もかひやなからむ
856

藤原仲實朝臣

堀河院の御時百首の歌たてまつりけるに

とまるべき道にもあらぬ別路はしたふ心や關となるらむ
857

權中納言師時

玉きはる心も知らず別れぬる人を待つべき身こそ老ぬれ
858

法印實清

題志らず

命あらばめぐり逢ふべき別ぞと慰めながら濡るゝ袖かな
859

讀人志らず

命ありて別るゝ道はおのづから又逢ふ末を頼むばかりぞ
860

順徳院御製

百首の歌めしけるついでに

知る知らず行くも歸るも逢坂の關の清水に影は見ゆらむ
861

爲道朝臣

あづまの方へ下り侍りけるに、賀茂のあたりゐせきと云ふ所に住み侍りける女の許へ詠みて遣しける

忘れずばゐせきの水に影を見よ思ふ心はそれにこそすめ
862

土御門院御製

題志らず

あさ霧に淀のわたりを行く舟の知らぬ別も袖は濡れけり
863

藤原長能

物へ行く人に餞すとて

古も今もあらばや我がごとく思ひつきせぬわかれする人
864

大藏卿行宗

俊頼朝臣ものへまかりける時遣しける

頼むべき我身なりせば幾度か歸りこむ日を君に問はまし
865

大納言經信

帥になりて下りけるに別れ惜むとて津守國基が、六とせにぞ君はきまさむと云へりける返事に

とゞまるも過ぎ行く身をも住吉の松の齡と祈らざらめや
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Last Modified: Tuesday, August 31, 2004
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