新拾遺和歌集 (Shin Shūi wakashū) — 新拾遺和歌集卷第十二 戀歌二 作者複数 (Various) 1364 Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1364 しんしゅういわかしゅう Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 しんしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新拾遺和歌集 › 新拾遺和歌集卷第十二 戀歌二 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
新拾遺和歌集 Shin Shūi wakashū
作者複数 Various
新拾遺和歌集卷第十二 戀歌二
1006
前大納言爲家
光明峯寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄糸戀
逢ふまでの契も待たず夏引の手びきの糸の戀のみだれは
1007
芬陀利花院前關白内大臣
文保三年百首の歌奉りける時
逢ふ事はなほかた糸にぬく玉の心よわくぞ思ひみだるゝ
1008
八條院高倉
寳治二年百首の歌奉りし時、寄玉戀
消えね唯何ぞはあだの言の葉にかけてもつらき袖の白玉
1009
藤原隆祐朝臣
題志らず
徒に年は經にけり玉の緒のながらへばとも契りやはせし
1010
入道二品親王法守
百首の歌奉りし時、寄篠戀
玉笹の葉分の露の消えぬべく思ふとまでは知る人やなき
1011
讀人志らず
貫之が家の歌合に
秋萩に置く白露の消えかへり人を戀しとおもふころかな
1012
赤染衛門
十月ばかりに女のもとへ遣はさむとて男のよませ侍りけるに
霜枯の野べに朝吹く風の音の身にしむ計り物をこそ思へ
1013
前大納言良教
寄露戀
我が戀は草葉にあまる露なれや置き所なく身を歎くらむ
1014
式子内親王
百首の歌の中に
我が袖はかりにも干めや紅のあさはの野らにかゝる夕露
1015
權大納言公實
堀河院の御時奉りける百首の歌に
憂しとのみ人の心をみしま江の入江の眞菰さぞ亂るらむ
1016
土御門院御製
寄鏡戀の心を
ます鏡戀しき人は見えなくに我が面かげの何うつるらむ
1017
法印定爲
嘉元の百首の歌奉りける時
我がなかは遠山鳥のます鏡よそにも人のかげをやは見る
1018
權中納言實直母
題志らず
山鳥のをろの鏡のよそながら見し面影にねこそなかるれ
1019
鴨祐夏
いつまでかよそにのみして天雲の隔つる中に戀渡るべき
1020
後岡屋前關白左大臣
逢ふ迄と頼をかけし玉の緒の弱るばかりに年ぞ經にける
1021
伊勢大輔
男のずゝを置きてつとめて取りにおこせたりけるに遣しける
人しれぬ思の玉のをだえなば何してあはぬ數をとらまし
1022
壽成門院
題志らず
戀死なぬ命ばかりはおなじ世の契ありとや猶たのまゝし
1023
藻壁門院但馬
寳治の百首の歌奉りける時、寄湊戀
湊入の蘆間を分けてこぐ舟も思ふなかには障らざりけり
1024
讀人志らず
延喜十三年、亭子院の歌合に、戀
蘆間より難波の浦を引く舟の綱手ながくも戀ひ渡るかな
1025
基俊
題志らず
なぞもかく天の戸渡る海士小舟舵とる間なく物思ふらむ
1026
和泉式部
與謝の海の蜑の所爲と見し物をさも我がやくと汐たるゝ哉
1027
道曉法師
逢ふ事は堅田の浦のおきつ浪立つ名ばかりや契なるらむ
1028
後深草院少將内侍
汐垂るゝ身をば思はず異浦に立つ名苦しき夕けぶりかな
1029
後伏見院御製
戀の歌とてよませ給うける
逢ふ事も身には渚に寄る浪のよその見る目にねこそなかるれ
1030
權中納言時光
百首の歌奉りし時、寄藻戀
いつまでか思ひ亂れむ徒におきつ玉藻のみがくれにして
1031
前大納言爲定
文保の百首の歌奉りけるに
如何にせむ唐土船の寄る方も知らぬに騷ぐ袖のみなとを
1032
徽安門院一條
百首の歌奉りし時
逢ふことは浪路遙にこぐ舟のほの見し人に戀ひや渡らむ
1033
前參議爲秀女
題志らず
寄る舟の便はなくていたづらに我が身こがるゝ床の浦浪
1034
賀茂成助
春の立ちける日女の許へ遣しける
春立てば空の景色の變るかなつらき心もかゝらましかば
1035
太宰大貳高遠
櫻の花につけて或る女に遣しける
隔てたる霞の間より散る花は忍ぶに餘るこゝろとを知れ
1036
基俊
年頃物申し渡りけれどいとつれなくてやみ侍りけるに、女のいかゞ思ひけむ、いと面白く咲きたる花をおこせたりければ言ひ遣しける
如何にして花の下紐解けにけむ人の心はありしながらに
1037
洞院攝政左大臣
光明峯寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄帶戀
紫の濃染のおびのかたむすび解けてぬる夜の限知らせよ
1038
後堀河院民部卿典侍
かりそめに結び捨てける下帶をながき契となほや頼まむ
1039
祖月法師
題志らず
思へどもえぞ岩代のむすび松打ちとけぬべき心ならねば
1040
謙徳公
杉立てる宿も教へずつらければ三輪の山邊を誰に問はまし
1041
行乘法師
祈らずよ泊瀬の檜原時雨にも露にも染めぬ色を見むとは
1042
八條入道内大臣
御祓せし神も受けずば立返りつらき人をや又かこたまし
1043
三善爲連
神だにも靡かぬ中のゆふしでは何にかくべき頼なるらむ
1044
前大納言爲定
依戀祈身
戀死なぬ身の難面さを祈るより思絶えぬと神や知るらむ
1045
關白左大臣
百首の歌奉りし時、寄杜戀
時雨する生田の杜の初紅葉日を經てまさる色に戀ひつゝ
1046
從三位行尹
正和五年九月盡日後醍醐院いまだみこの宮と申しける時十首の歌召しけるに、見不逢戀
時雨れ行く雲の絶間の峰の松見ずば難面き程も知られじ
1047
從三位爲理
逢ふ事を暫しはかけじ沖つ浪よそのみるめの絶えもこそすれ
1048
中納言爲藤
いもせ山中なる瀧の音にのみ聞かぬばかりを猶や頼まむ
1049
藤原輔相
人に對面せむといひ送り侍りし返り事は無くて小石を送りければ
逢ふ事の渚にひろふ石なれや見れば涙のまづかゝるらむ
1050
前大納言爲兼
題志らず
海士の刈るみるめはよその契にて汐干も知らぬ袖の浦浪
1051
藤原爲清
海士のたく藻に住む虫に非ねども我から戀に身を焦す哉
1052
前大納言爲世
我が中は浦より遠に置く網の引けども寄らぬ程ぞ苦しき
1053
常磐井入道前太政大臣
女の許に遣しける
うらみても年經る蜑の釣のをのうけくに浮ぶ涙とを知れ
1054
源藤經
寄關戀と云ふ事をよめる
清見潟あふ事なみの關もりは我が通路に打ちもたゆまず
1055
法印長舜
題志らず
關守の心も知らず逢坂を我がかよひ路とおもひけるかな
1056
從二位爲子
嘉元の百首の歌奉りける時
聞くもうし誰を勿來の關の名ぞ行逢ふ道を急ぐこゝろに
1057
前大納言隆房
題志らず
如何にまた心ひとつの通ひ路も末は勿來の關となるらむ
1058
伏見院御製
寄布戀といふ事をよませたまうける
世と共に胸あひ難き我が戀のたぐひもつらき今日の細布
1059
讀人志らず
中納言匡房のいへの歌合に、戀の心を
戀しきもつらきも同じ思ひにてやむ時もなき我が心かな
1060
實方朝臣
戀の歌の中に
哀てふ言の葉いかで見てしがな侘果つる身の慰めにせむ
1061
小少將
あだに置く露の情の言の葉に我が命さへかゝる果敢なさ
1062
源頼康
憂きに猶堪ける年を數ふれば我が難面さの程ぞ知らるゝ
1063
權大納言義詮
聞戀と云ふ事を
存へて同じ浮世にありとのみ聞くや我が身の頼なるらむ
1064
法印良憲
題志らず
つれなさの限も知らず同じ世に命あらばと頼む果敢なさ
1065
前大納言爲兼
かひなしや憂きになしても一方に思ひもこりぬ心弱さは
1066
前中納言隆長
元亨三年八月大覺寺殿に行幸ありて人々題をさぐりて歌仕うまつりける時、不逢戀
逢ふまでは結ばざりける先の世の報しられて憂き契かな
1067
前大納言公蔭
戀契と云ふ事を
世々かけて我さへつらし報ありて憂きに引かるゝ契と思へば
1068
善源法師
戀の歌の中に
報ある世とも知らでや憂き人の心の儘につれなかるらむ
1069
前大納言實教
嘉元の百首の歌奉りける時、不遇戀
あらましに慰むほどの契だにわが心よりおもひ絶えにき
1070
俊惠法師
題志らず
逢ふにだにかへむ命は悲しきに憂き人故に身をや捨つべき
1071
前大納言爲氏
二品法親王性助の家の五十首のうたに
戀死なむ後の世とても如何ならむ生きて難面き人の心は
1072
藤原基任
二品法親王覺助の家の五十首の歌に、不遇戀
難面しとよそにや見えむ逢ふ事に人の換ねばいける命を
1073
金光院入道前右大臣
戀の歌の中に
逢見ての後のつらさをせめてなど歎く計りの思出もがな
1074
法印定煕
さりともと果敢なく頼む心こそつれなき中の契なりけれ
1075
宗惠法師
逢ふ事にかへもこそすれ惜からぬ我が命とは人に語らじ
1076
三善信方
訪はれぬも憂き身の咎と思ふこそせめても慕ふ心なり けれ
1077
殷富門院大輔
何か思ふ強ても言はじうき身をは厭ふもさこそ苦しかるらめ
1078
寂蓮法師
千五百番歌合に
伊勢の海の潮瀬に靡く濱荻の程なきふしに何しをるらむ
1079
冷泉前太政大臣
建長二年、鳥羽院にて、寄水戀を
せきとむる山井の水の影にだに見ずば袂を絞らましやは
1080
永福門院
題志らず
人心淺きにまさるおもひ川浮瀬に消えぬみづからもうし
1081
藤原頼清朝臣
人知れぬ心のうちのおもひ川流れて末のたのみだになし
1082
按察使實繼
百首の歌奉りし時、寄橋戀
年を經て戀ひわたる身の苦しさを哀とは思へ宇治の橋姫
1083
源頼康
寄川戀
思ひかね宇治の川長こと とはむ身の浮舟も寄るべありやと
1084
大藏卿有家
名所の歌の中に
最上川人のこゝろのいな舟も暫しばかりと聞かば頼まむ
1085
式乾門院御匣
題志らず
水の上の泡と消えなば戀瀬川ながれて物は思はざらまし
1086
前參議爲秀
そこひなき淵となりても涙川したに心のさわぎやはせぬ
1087
山本入道前太政大臣
逢ふ瀬なき涙の川の澪標つらきしるしに朽ちや果てなむ
1088
權大僧都信聰
いかなれば人に心をそめ河の渡らぬ瀬にも袖ぬらすらむ
1089
前中納言匡房
すけしげがむすめを云ひ渡りけるに下野守よしつなに逢ひぬと聞きて云ひ遣しける
烟立つ室の八島にあらぬ身はこがれし事ぞ悔しかりける
1090
平忠度朝臣
戀の歌の中に
浮世をば歎きながらも過し來て戀に我身や堪ずなりなむ
1091
法印村基
さてしもぞ命は最ど惜からむ逢ふにはかへじ戀は死ぬとも
1092
伴周清
逢ふ事にかへぬ命ぞよそながらなか/\長き契なりける
1093
小侍從
身の憂さを思ひも知らぬ物ならば何をか戀の慰めにせむ
1094
鷹司院帥
寳治の百首の歌奉りける時、寄枕戀
敷妙の枕もうとくなるまでにさても寢ぬ夜の積りぬる哉
1095
源頼隆
題志らず
戀ひ侘ぶる袖の涙をその儘にほさでかた敷く夜半のさ莚
1096
源宗範
逢ふ事はかたしき衣さ莚に寢ぬ夜かさねて濡るゝ袖かな
1097
藤原雅冬朝臣
百首の歌奉りし時、寄衣戀
ひとりぬる泪の床の濡衣逢ふ夜も知らで朽ちや果てなむ
1098
鷹司院按察
戀の歌の中に
幾夜われおしあけ方の月影にことわりならぬ物思ふらむ
1099
後醍醐院御製
おのづから慰むやとて眺むれば月見ぬよりも濡るゝ袖哉