新拾遺和歌集 (Shin Shūi wakashū) — 新拾遺和歌集卷第十三 戀歌三 作者複数 (Various) 1364 Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1364 しんしゅういわかしゅう Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 しんしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新拾遺和歌集 › 新拾遺和歌集卷第十三 戀歌三 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
新拾遺和歌集 Shin Shūi wakashū
作者複数 Various
新拾遺和歌集卷第十三 戀歌三
1100
土御門院御製
百首の御歌の中に
行き逢はむ程をば知らず住吉の松の絶間のちぎの片そぎ
1101
新少將
題志らず
待つ人も梢にかゝる空蝉のうき身からにや音づれもせぬ
1102
前大納言爲家
果敢なしや誰が僞のなき世とて頼みし儘の暮を待つらむ
1103
土御門入道前内大臣
龜山殿の十首のうたに、忍待戀
さりともと心ひとつに頼むかな人の知るべき夕ならねば
1104
前大僧正道意
戀の歌の中に
わくらばに待てと頼むる言の葉の僞ならぬゆふ暮もがな
1105
後九條前内大臣
秋戀の心を
秋の雨に桐の葉落つる夕暮を思ひ捨つるぞ待つに勝れる
1106
藤原信實朝臣
光明峰寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄莚戀
徒にくらせる宵のさむしろは夢を頼みて寢むかたもなし
1107
惟宗光吉朝臣
夜戀を
歎侘び逢ふと計りをいかにして暮せる宵の夢にだに見む
1108
源貞世
題志らず
侘びぬれば今宵も獨ぬるが内に見えつる夢や強て頼まむ
1109
權大納言長雅
寄衣戀と云ふ事を
これも亦待つとや云はむ小夜衣かへす夢路の頼ばかりに
1110
後照念院關白太政大臣
嘉元の百首の歌奉りけるに、待戀
よしさらば待たじと思ふ夕こそ我が心さへ頼みがたけれ
1111
大江廣秀
戀の心を
筏おろす杣山河のはやき瀬にさはらぬ暮と思はましかば
1112
馬内侍
年ごろ語らひける人のこの夕人の婿なるべしと聞きて筏をつくりて書きてやりける
大井川人目もらさぬ今日やさは杣の筏士くれを待つらむ
1113
入道二品親王法守
百首の歌奉りし時
待ちなれし夕暮ごとに小蜑のいとも苦しく物をこそ思へ
1114
徽安門院一條
頼めしもまだ知る人は無き物をことにな立てそ松の夕風
1115
權大納言宣明
忍待戀
このくれも音にな立てそ志のぶ山こゝろ一つの峯の松風
1116
賀茂雅久
題志らず
等閑の言の葉にのみ聞き慣れて頼むばかりの夕暮もなし
1117
藤原爲冬朝臣
僞の憂きにも堪へて待たれけり身はならはしの夕暮の空
1118
從三位藤子
僞の言の葉まではたのむとも契らぬ暮の待たれずもがな
1119
大江忠幸
待つ人は今宵もいさや入日さすとよはた雲の夕ぐれの空
1120
彈正尹邦省親王
臨期變約戀の心を
この暮に驚かさずばかはりける契も知らで猶や待たまし
1121
從二位爲子
伏見院に奉りける三十首の歌に
頼めねば僞とだにかこたれて我が慰めにしひて待つ夜は
1122
後西園寺入道前太政大臣
五首の歌合に、戀夕
一かたに待ちもやせまし僞の憂きにならはぬ夕なりせば
1123
津守國冬
文保三年百首の歌奉りける時
僞は待たれしまでのなさけにてなか/\つらくなる契哉
1124
後醍醐院女藏人萬代
題志らず
いつはりの契なりとも頼みてや變らば喞つ言の葉にせむ
1125
入道親王尊道
待戀の心を
かくばかり待たれずもがな僞と思ひしまゝの心なりせば
1126
讀人志らず
女の許より山吹につけて申し侍りける
頼めこしうき僞をつらしとも云はぬに見ゆる花の色かな
1127
淨妙寺關白前右大臣
返し
いはで唯あだに移ろふ花にこそとへと思はぬ色も見えしか
1128
讀人志らず
題志らず
世の中に絶えて僞なかりせばたのみぬべくも見ゆる玉章
1129
源孝朝
連夜待戀と云ふ事を
果敢なしや暮るゝ夜毎の僞に何時までこりぬ心なるらむ
1130
中納言爲藤
嘉元の百首の歌奉りし時
果敢なくて待つらむとこそ僞に契りし人は思ひ出づらめ
1131
法印淨辨
題志らず
僞の契ならずばおのづから人もひと目のひまや待つらむ
1132
中務卿宗尊親王
こぬまでも慰むものを僞のなき世なれとは誰か云ひけむ
1133
贈從三位爲子
嘉元の百首の歌奉りけるに
契ればと頼むも悲しいつはりの無き夕暮にいつ習ひけむ
1134
廉仁王
待戀の心をよみ侍りける
幾夜まで待ち明せとて憂き人の猶いつはりの數積るらむ
1135
大藏卿隆博
戀の心を
いつまでかこぬ夜數多と恨みても流石待たれし夕なり けむ
1136
如雄法師
僞のむなしきかずの積るより夕ぐれをさへ恨みつるかな
1137
權律師則祐
いつはりと思はで頼む暮もがな待つ程をだに慰めにせむ
1138
前中納言基成
題志らず
さゝがにのいとかき絶えし夕より袖にかゝるは涙なり けり
1139
[5]A 5 子内親王
さりともと夕けの卜の今宵さへ逢はずば頼むかひや無からむ
1140
前大納言忠季
戀の歌の中に
頼めてもいかゞと思ふ宵の間の雨にぞいとゞ待弱りぬる
1141
花園院御製
自から人まありともつげてまし誠に通ふこゝろと思はゞ
1142
前中納言爲相
僞もかぎりあらばと頼む夜のいくたび更けて獨ねぬらむ
1143
頓阿法師
前大納言爲世の家に十首の歌よみ侍りしに、深夜待戀
更けぬるを恨みむとだに思ふ間に來ぬ夜知らるゝ鳥の聲哉
1144
照慶門院一條
嘉元の百首の歌奉りけるとき、待戀を
待たじとは思ふ物から更くる夜のつらきや何の心なる覽
1145
法皇御製
貞和の百首の歌召しけるついでに、戀の御歌
今宵さへ空しく更くる燈の消えなで明日もあらむ物かは
1146
關白前左大臣
更くる迄猶こそ頼め今宵ぞと云はぬをだにも待ちし心に
1147
土御門院御製
寄露戀を
宵の間は出でゝ拂はむと思ひしに先だつ袖の露ぞ怪しき
1148
彈正尹邦省親王
寄月戀
憂き人の面かげ添へて頼む夜も來ぬ夜も獨月を見るかな
1149
菅原在夏朝臣
つれなさの限をぞ知るたのめつゝ來ぬ夜の月の有明の空
1150
前中納言冬定
月前待戀といへる事を
今宵またむなしき袖に更けぬとは涙に宿る月ぞ知るらむ
1151
左兵衛督基氏
宵の間の繁き人めのやすらひに待つ程過ぎて月ぞ更行く
1152
大納言顯實母
頼めずばさても寢ぬべき宵々のつらさにかへて月を見る哉
1153
是法法師
題志らず
君待つと人には云はぬ僞もいく夜になりぬ山のはのつき
1154
源信武
僞と思ひも知らず待たるゝやこゝろに絶えぬ契なるらむ
1155
前中納言雅孝
文保の百首の歌奉りける時
待てばこそ恨もまされ僞に思ひなしてやうちも寐なまし
1156
源師光
寄水鷄戀を
眞木の戸を敲く水鷄をそれかとも驚くまでに訪はぬ君哉
1157
高階重直
題志らず
眞木の戸はさして今宵も明けに鳬障ると言はで何待たる覽
1158
大藏卿長綱
蘆間行く入江の舟のつな手繩さはるやよそに心引くらむ
1159
源光行
頼めつゝ來ぬ夜に豫て習はずば今日やつらさの始ならまし
1160
大中臣行廣朝臣
頼めつゝ來ぬ夜の數は積れども待たじと思ふ心だになし
1161
讀人志らず
菅家萬葉集の歌
思ひつゝ晝はかくても慰めつ夜ぞ侘しきひとりぬる身は
1162
昌義法師
題志らず
僞となにか喞たむ思はねば訪はぬぞ人のまことなりける
1163
法印隆淵
立ちかへりなほこそ頼め僞も積らば人やおもひ知るとて
1164
津守國夏
せめて唯更行く鐘ぞ待たれける忘れて來ずば驚かせとて
1165
能譽法師
頼めてもこぬみの濱の沖つ風何いほざきの松に吹くらむ
1166
忠見
戀の歌の中に
夢のごと などか夜しも君を見む暮るゝ待つ間も定なき夜を
1167
惟宗忠貞
夢とだに思ひも分かぬ契哉闇のうつゝのさだかならねば
1168
權少僧都寛耀
前關白左大臣近衛 のいへにて、寄鳥戀
浮名のみ立つあだ波の淺き瀬は通ふかひなき鳰のした道
1169
讀人志らず
題志らず
憂きふしと中々なりぬさゝ枕結ぶひと夜の夢のちぎりは
1170
關白前左大臣
百首の歌奉りし時、寄枕戀
忘れじな一夜のふしのさゝ枕人こそかりに思ひなすとも
1171
後宇多院御製
嘉元の百首の歌召されけるついでに、初逢戀
戀ひ死なば悔しかるべき契かな命ぞ人のなさけなりける
1172
贈從三位爲子
待遇戀と云へる事を
さすがまた限ありける契とや命つれなくたのみ來つらむ
1173
權少僧都經賢
忍逢戀といふ事をよみ侍りける
斯てしもあり果つまじき契とや逢ふ夜を人の猶忍ぶらむ
1174
民部卿爲明
貞和二年、百首の歌奉りし時
逢坂の木のしたかげの岩清水ながれてむすぶ契ともがな
1175
信實朝臣
稀會戀を
自づから逢ふ夜稀なる契をば忍ばずとても誰か知るべき
1176
從三位宣子
さ莚の塵は拂はじ逢はぬ夜の積れるかずも思ひ知れとて
1177
頓宗法師
民部卿爲明の家に歌よみ侍りしに、遇戀を
恨むべき言の葉ぞなき葛かづらくる夜は人の憂さも忘れて
1178
藤原基世女
題志らず
稀に來る人の涙も落ちそひて逢ふ夜ぞ袖は濡れ増りける
1179
正二位隆教
永仁六年龜山殿の五首の歌合に、來不留戀の心を
おのづから着ても頼まず涙せく花色ごろも歸りやすさは
1180
後光明照院前關白左大臣
別戀を
待て暫しまた夕暮とちぎるとも猶慰まじ今朝のわかれ路
1181
源時秀
思ひ知れまた夕暮の頼だになく/\惜しき今朝の名殘を
1182
前大納言爲家
後朝戀といへる事をよみ侍りける
そのまゝにさても消えなで白露のおきて悲しき道の芝草
1183
從二位行忠
戀の歌の中に
慰むる言の葉もなほ頼まれずさても別るゝきぬ%\の空
1184
藤原冬長
きぬ%\の別を慕ふ手枕になみだをそへて鳥や鳴くらむ
1185
正三位成國
憂しと聞く鳥の音ばかり殘りけり人はとまらぬ後朝の空
1186
左兵衛督基氏
うつゝとも夢とも分かず鳥の音に鳴きて別るゝ東雲の空
1187
入道二品親王尊圓
寄鳥戀を
天の戸の明くるも知らで別路を唯鳥の音に喞ちつるかな
1188
權大納言義詮
百首の歌奉りし時、寄關戀
逢坂のゆふつけ鳥は心せよまたもこゆべき關路ならぬに
1189
藤原盛徳
戀の歌の中に
自から逢ひ見る夢も覺めゆけばこれも別と鳥や鳴くらむ
1190
前參議爲秀
旅戀を
露しげき野上の里のかり枕しをれて出づる袖のわかれ路
1191
藤原仲文
左京に云ひ遣しける
程もなく明けて別れし曉はいとゞ露こそおき憂かりしか
1192
皇太后宮大夫俊成
後朝戀の心を
暮にもとちぎりおけども杣川の筏の床はおきぞわびぬる
1193
醍醐入道前太政大臣
千五百番歌合に
逢見ても名殘をしまの蜑人は今朝のおきにぞ袖濡しける
1194
赤染衛門
語らひける人の七月八日の夜來て物語して歸りぬるつとめて
七夕の昨日別れし袖よりも明くれば今朝ぞ侘しかりける
1195
從三位爲理
後醍醐院いまだみこの宮と申しける時、千首の歌召しけるに、恨別戀
ぬる夜さへ中にありつる唐衣うらみ變らでおき別れつゝ
1196
祝部成藤
題志らず
恨むるも慕ふも同じ涙にて逢ふよはさへにぬるゝ袖かな
1197
讀人志らず
移り香の殘る衣を片敷きて又寢のとこもおき憂かりけり
1198
前中納言基隆
曉別戀の心を
面影の後しのべとやありあけの月にも人のおき別るらむ
1199
法印顯詮
題志らず
忘れずよ今はと云ひしきぬ%\の面かげ殘す有明のつき
1200
大江頼重
今はまたとりの音ばかり形見にて有明の月を涙にぞ見る
1201
萬秋門院
嘉元の百首の歌に
憂きものと見し別路の有明に又やつれなくかげ慕ふらむ
1202
後宇多院御製
戀の御歌の中に
わするなと今一たびは云ひてましありし別を限と思はゞ
1203
從三位爲繼
身を捨てゝそへし心のかひもなく戀しき事のなど殘る覽
1204
花山院前内大臣
弘安元年百首の歌奉りける時
手枕のうつり香殘る朝寐がみ心みだるゝかたみなりけり
1205
躬恒
題志らず
朝な/\けづればいとゞ亂れつゝ我が黒髮の解けぬ頃哉
1206
藤原業清朝臣
いつまでかしづはたおびの存へて心も解けぬ契待つらむ
1207
進子内親王
なれそめし契忘るな下帶のまた打ち解くる人はありとも
1208
前中納言定家
光明峯寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄帶戀
いかゞせむうへは難面き下帶の別れし路に廻り逢はずば
1209
俊惠法師
戀の歌の中に
あひ見ても忘るゝ程になりなましありし契の誠なりせば
1210
從三位雅宗
契經年戀といへる事を
あさからぬ契の程は年つきの積るにつけて人も知るらむ
1211
藤原行輔朝臣
百首の歌奉りし時、寄弓戀
つゝむとて急ぐけしきに梓弓おし返してもえこそ契らね
1212
眞昭法師
題志らず
ゆす末をたのめても猶音をぞなく知らぬ命の心よわさに
1213
前參議爲秀女
言の葉も定めなき世と思へども契りしまでの命ともがな
1214
法印實顯
ちぎり置く心の末も見るばかり戀に惜しきは命なりけり
1215
藤原經清朝臣
契行末戀を
明日知らぬ身にはたのまず行く末を契るは人の誠なり とも
1216
前大納言爲定
契顯戀と云ふ事を
移ろはぬ契と聞くも頼まれず其言の葉の世にふりしより
1217
左兵衛督直義
戀の心を
契こそなほ頼まるれさりともと思ふかたには心ひかれて
1218
深守法親王
僞戀と云ふ事を
はかなくて頼む心をたよりとや憂き僞もある世なるらむ
1219
花園院御製
ありし世の契よせめて夢ならば思寐をだに待たまし物を
5 [5] Kanji in place of A is not available in the JIS code table. The kanji is Morohashi's kanji number 21114.