新拾遺和歌集 (Shin Shūi wakashū) — 新拾遺和歌集卷第十四 戀歌四 作者複数 (Various) 1364 Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1364 しんしゅういわかしゅう Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 しんしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新拾遺和歌集 › 新拾遺和歌集卷第十四 戀歌四 Furigana ふりがな Vertical 縦書き
新拾遺和歌集 Shin Shūi wakashū
作者複数 Various
新拾遺和歌集卷第十四 戀歌四
1220
皇太后宮大夫俊成
戀の歌の中に
現には思ひ絶え行く逢ふ事をいかに見えつる夢路なる覽
1221
前中納言定家
入道二品親王道助の家の五十首の歌に、寄枕戀
おもひ出づる契の程もみじか夜の春の枕に夢は覺めにき
1222
藻壁門院少將
題志らず
思ひつゝいかに寐し夜を限にて又も結ばぬ夢路なるらむ
1223
花園院御製
憂しと見し一夜の夢の名殘より心に覺めぬ物をこそ思へ
1224
大納言師賢
寄夢戀
明くるをも待たぬ契の悲しきは逢ふと見る夜の夢の別路
1225
性威法師
鳥羽玉の夢かあらぬか逢ふ事もたゞ一夜にてやみの現は
1226
前中納言資平
名所戀と云ふ事を
現には訪はで年ふる三輪の山いかに待ち見むゆめの通路
1227
中納言爲藤
後西園寺入道前太政大臣の家にて歌詠み侍りしに、寄山戀
うき身には越えて後こそ逢坂の山も隔つる關となりけれ
1228
權中納言經定女
題志らず
越えてしも悔しかりける逢坂の關路を何に許しそめけむ
1229
人麿
今のみもいもをば戀ひず奥山の岩根苔生ひて久しき物を
1230
坂上大孃
中納言家持に遣しける
とに斯に人は云へども若狹路の後瀬の山の後も逢はむ君
1231
中納言家持
返し
後瀬山後も逢はむと思ふにそ死ぬべき物を今日迄もあれ
1232
三條右大臣女
中納言兼輔に逢ひはじめける頃は未だ下臈に侍りければ、女は逢はむの心やなかりけむ、男も宮仕にひまなくて常にも逢はざりける頃詠める
焚物のくゆる心はありしかど獨はたへて寐られざりけり
1233
平政村朝臣
遇不逢戀
逢はでこそ戀をいのりと頼みしか今はた何か命なるべき
1234
康資王母
題志らず
さらぬだに逢ふ事難き我が戀を年さへ痛く隔て行くかな
1235
伏見院御製
戀の御歌の中に
自から又逢ふ契ありとてもなれしながらの世には歸らじ
1236
馬内侍
絶えにし人の立ち歸り又云ひおこせたる返事に
君がこと思はぬ人のつらからば我は心もあくがれなまし
1237
大納言顯實母
題しらず
つらかりし心くらべの一方も弱らぬ末はとほざかりつゝ
1238
津守國夏
後宇多院の宰相典侍の歌合に、絶戀
頼まれぬ中とは豫て云ひしかど唯一夜とは思ひやはせし
1239
前關白左大臣近衛
戀の歌の中に
憂きに猶こりずぞたのむ僞をかこちて絶えむ心ならねば
1240
皇嘉門院別當
後法性寺入道關白の家の百首の歌に、遇不逢戀
つれなきを恨みし袖もぬれしかど泪の色は變りやはせし
1241
前參議爲秀
關白前左大臣の家に題を探りて歌詠み侍りけるに、變戀
言の葉の變るにつけて憂き人の心の色もまづ知られつゝ
1242
中宮大夫公宗母
文保の百首の歌奉りし時
よしさらば忍ぶる程に絶えもせよ顯はれば憂き中の契は
1243
權大納言義詮
契戀を
世々かけて契りし迄は難くとも命のうちに變らずもがな
1244
式部卿恒明親王
題志らず
逢ふ事は思絶ゆとも同じ世にありと計りを知せてしがな
1245
法眼聖承
同じ世に生けるばかりを契にて又逢ふ迄は思ひ絶えにき
1246
岡屋入道前攝政太政大臣
寄雲戀の心を
逢見ても隔つる中に行く雲のなど絶々にしぐれそめけむ
1247
後鳥羽院下野
寳治二年百首の歌奉りける時、同じ心を
眺めやるそなたの空の雲だにも跡なき果ぞ消えて悲しき
1248
信實朝臣
あだ人の心の花にまがへばや浮きたる雲のあとも定めぬ
1249
法性寺入道前關白太政大臣
題しらず
志ら菊もうつろひにけり憂き人の心ばかりと何思ひけむ
1250
徳大寺前内大臣
百首の歌奉りし時、寄杜戀
神なびの秋ならねども豫てより移ろふ色の見ゆる中かな
1251
待賢門院堀川
心變りたる男の灌佛のつくり物に松に鶴の居たりけるをおこせて、千とせまで契し深き中なれば松の梢に鶴ぞ居にけると云ひて返しを請ひけるに
鶴のゐる松とて何かたのむべき今は梢になみも越えなむ
1252
進子内親王
百首の歌の中に、寄鳰戀
鳰鳥の下の通ひ路絶えざらば浪の浮巣はうかれたりとも
1253
右兵衛督爲遠
頼むぞよ鳰の浮巣の浮きながら下の通ひの絶えぬ計りを
1254
源兼氏朝臣
寄鳥戀
鳰鳥のすむ池水の絶えもせばいかに忍べと通ひそめけむ
1255
清愼公
忍びたる女の、などかは來ぬと聞えたりければ
小田山の苗代水にあらなくに流れそめては絶えむ物かは
1256
讀人志らず
戀の歌の中に
我妹子に又も近江のやす川の安きいも寐ず戀ひ渡るかも
1257
藤原公時朝臣
遂に又いかなる瀬にか絶え果てむ山下水の淺きちぎりは
1258
中納言爲藤
龜山殿の千首の歌に、遇不逢戀
谷川の岩間に洩れし山みづの又は如何なる瀬に淀むらむ
1259
文保三年百首の歌奉りける時
水草ゐし野中の清水今さらにすむともいさやもとの心は
1260
前中納言定家
光明峯寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄鏡戀
行く水の花の鏡の影も憂しあだなる色のうつりやすさは
1261
前大僧正賢俊
百首の歌奉りし時おなじ心を
移り行く心ぞつらきます鏡誰れ故かげとなる身なるらむ
1262
人丸
題志らず
ます鏡絶えにし妹を逢見ずば我が戀やまじ年は經ぬとも
1263
小町
忘草我が身につむとおもひしを人の心に生ふるなりけり
1264
讀人志らず
紀の國のあくらの濱の忘れ貝われは忘れじ年はふるとも
1265
從二位行家
建長元年、五首の歌に、寄海戀
つらかれと駿河の海の濱つゞらくる夜は稀に人ぞなりゆく
1266
二條院讃岐
題志らず
いかなれば泪の雨は隙なきを阿武隈川の瀬だえしぬらむ
1267
法印定爲
初瀬川結ぶ水泡のうき身世に消返りても絶えじとぞ思ふ
1268
中園入道前太政大臣
百首の歌奉りし時、寄杉戀
初瀬川又逢ひ見むと頼めてし志るしやいづら二もとの杉
1269
實方朝臣
戀の歌の中に
我がごとや久米路の橋も中絶えて渡しわぶらむ葛城の神
1270
源和義朝臣
寄橋戀
岩橋の絶えにし中を葛城の神ならぬ身はなほも待つかな
1271
源基幸
題志らず
今はたゞ思ひ絶えにし面かげのはかなく通ふ夢のうき橋
1272
權中納言實直女
寐ぬる夜に逢ふと見つるも夢路にて彌はかなゝる契なり 鳬
1273
前大納言爲氏
思ひ出づる心一つのかひもなし同じ世にだに知らぬ契は
1274
月花門院
百首の御歌の中に、戀の心を
さらに又おなじ心にわすれなで何に思はぬ人を戀ふらむ
1275
今出川院近衛
戀の歌の中に
忘れえぬ我が心こそいとはるれはて憂かりける人の契に
1276
衣笠前内大臣
思餘り昔までやはつらからぬ誰が世に人を忘れそめけむ
1277
平親清女
いかにして忘れむと思ふ心にも猶かなはぬは涙なりけり
1278
行蓮法師
又も見ぬ夢路ながらは絶えもせでつらき現に殘る魂の緒
1279
大藏卿行宗
寄夢戀
逢ふと見る夢も空しく覺めぬればつらき現に又なりに鳬
1280
源和氏
思ひ寐にしばし慰む夢をだにゆるさぬ夜半の鐘の音かな
1281
按察使實繼
貞和二年七月七日仙洞にて三首の歌つかうまつりけるに、遇不逢戀と云ふ事を
やがてなど昔語りになりぬらむ見しはまぢかき夢の通路
1282
藤原政元
題志らず
いかにせむ通ふ夢路も頼まれず思寐ならぬ夜はしなければ
1283
惟明親王
正治二年百首の歌奉りけるに
逢ふことは夢になりにし床の上に泪ばかりぞ現なりける
1284
御製
百首の歌めされし次でに、寄枕戀
知らざりきその曉をかぎりとも我にはつげの枕ならねば
1285
式乾門院御匣
戀の歌に
思はじと思ふも物の苦しきをやすくや人の忘れはつらむ
1286
前大納言爲氏
會不逢戀の心を
今は唯思ひたえたるつらさにて契くやしき夕ぐれのそら
1287
前大納言爲世
絶不逢戀
今は早や絶えにしまゝの現にてみる慰めの夢だにもなし
1288
源高秀
忘戀を
はかなくも思ひ出づやと頼むかな我が習はしの心弱さに
1289
永福門院内侍
伏見院に三十首の歌奉りけるに
はかなくて絶えにし中の名殘しも心にとまる果ぞ悲しき
1290
關白前左大臣
百首の歌奉りし時、寄鐘戀
待ちしよに又立ちかへる夕かな入相の鐘に物わすれせで
1291
前關白左大臣近衛
別路に聞きしも今は昔にて厭はぬかねのねをのみぞなく
1292
藤原爲重朝臣
ひとりぬる霜夜の鐘の響きより秋に更け行く契をぞ知る
1293
洞院攝政左大臣
家に百首の歌詠み侍りけるに
なら柴のなれし思や今さらにかり塲の小野のよその秋風
1294
源仲教
題志らず
いつまでか逢ふ事難きあら鷹の手なれぬ中に心おくらむ
1295
前參議定宗
かはり行く人の心の秋かぜにあふたのみだになき契かな
1296
權僧正果守
寄草戀と云ふ事を詠み侍りける
淺茅原なひくもおなじ秋風の移ろふ色に吹きかはるらむ
1297
正三位知家
洞院攝政の家の百首の歌に、逢不會戀を
かよひこし里は伏見の秋かぜに人の心のあれまくも惜し
1298
龜山院御製
おなじ心を
つらきかな待ちしに變る夕暮を身は憂き時と秋風ぞ吹く
1299
閑院
平貞文絶えて後程經て逢ひて露のおきゐてと申しける返事に
白露の起臥誰を戀ひつらむ我はきゝおはす磯のかみにて
1300
前中納言季雄
戀の歌の中に
見し儘に形見なるべき月だにも憂きより外の面影ぞなき
1301
前内大臣
寄月戀
村雲の空行く月もある物を絶え%\にだに見えぬ君かな
1302
榮子内親王
自から思ひも出でば忘れじと契りしまゝの月や見るらむ
1303
權中納言公雄
山階入道前左大臣の家の十首の歌に、寄秋月戀
身をさらぬ面影ばかりさやかにて月のため憂き我が涙哉
1304
壽曉法師
題志らず
いかなれば立ちも離れぬ面影の身にそひ乍ら戀しかる覽
1305
江侍從
身まかりける男の文をとり集めてやりすつとて
見るまゝに落つる泪の玉章はやる方もなく悲しかりけり
1306
貫之
文やる女の、いかなるにかありけむ、あまたゝび返事せざりければ、やりつる文どもをだに返せと云ひやりたりければ、紙やきたる灰をこれなむそれとておこせたれば詠みてやりける
君が爲我こそ灰となり果てめしら玉章はやけてかひなし
1307
式部卿宇合
題志らず
玉藻苅るおきべはゆかし敷妙の枕せし人わすれかねつも
1308
前中納言定家
光明峰寺入道前攝政の家の百首の歌に、名所戀
いかにせむ浦のはつ島はつかなる現の後は夢をだに見ず
1309
藻壁門院但馬
寄舟戀を
蜑小舟我をばよそにみ熊野の浦よりをちに遠ざかりつゝ
1310
前議經宣
寄海戀
足たゆく來るてふ蜑にこと とはむ枯れなで殘るみる め有りやと
1311
源貞世
題志らず
追風にまかぢしげぬき行く舟の早くぞ人は遠ざかりぬる
1312
前大納言爲家
から藍の八しほの衣ふりぬとも染めし心の色はかはらじ
1313
藤原爲重朝臣
寄衣戀を
小夜衣かけはなれてもいとゞ猶ほさぬは袖の泪なりけり
1314
昭覺法師
おなじ心を
つき草に摺れる衣のいろよりも移るはやすき心とぞ見る
1315
己心院前攝政左大臣
戀の歌の中に
萎るればこれをも海士の衣とや契りし中の間遠なるらむ
1316
達智門院
重ねてもなれにし中の小夜衣隔つる物といつなりにけむ
1317
前參議爲實
文保三年百首の歌奉りける時
音をぞなくとほ山鳥のひとり寐に長きへだての中の契は
1318
後鳥羽院御製
十首の歌合に、久戀
よと共に亂れてぞ思ふ山鳥のをろの長尾の長きつらさに