新拾遺和歌集 (Shin Shūi wakashū) — 新拾遺和歌集卷第十五 戀歌五 作者複数 (Various) 1364 Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 Various 作者複数 Kamakura-Muromachi-Azuchi-Momoyama Period 中世 14th century 14世紀 Poetry 韻文 Japanese 日本語 Text 本文 1364 しんしゅういわかしゅう Shin Shūi wakashū 新拾遺和歌集 しんしゅういわかしゅう Various 作者複数 さくしゃふくすう
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新拾遺和歌集 Shin Shūi wakashū
作者複数 Various
新拾遺和歌集卷第十五 戀歌五
1319
小町
戀の歌の中に
よそにして見ずはありとも人心わすれ形見に猶や忍ばむ
1320
西宮前左大臣
人やりにあらぬものから恨むるは身の理も思ひ知らずや
1321
深養父
物思へばいも寐られぬを怪しくも忘るゝ事を夢に見る哉
1322
一條太政大臣女
見しや夢我身やあらぬ契しに變るつらさぞ覺むる方なき
1323
讀人志らず
夢ならで又もむすばぬ契かな解けし一夜のなかの下ひも
1324
後西園寺入道前太政大臣
伏見院に奉りける三十首の歌に
須磨の蜑の汐なれ衣なれきてぞ間遠になるも恨なりける
1325
前大納言爲世
元弘三年九月十三夜内裏にて人々題を探りて歌つかうまつりけるに、恨戀を
果は又蜑の住むてふ里と云へば導べだになき見を恨つゝ
1326
正三位知家
光明峯寺入道前攝政の家の戀の十首の歌合に、寄網戀
置く網の引く手許多に袖ぬれて偖も恨みぬ波の間ぞなき
1327
只皈 法師
題志らず
こと方に引く人なくば栲繩の間遠にくるもよしや恨みじ
1328
鎌倉右大臣
かれ果てむ後忍べとや夏草の深くは人のたのめ置きけむ
1329
源氏兼
ともしする夏野の鹿の音に立てぬ思もかくや苦しかる覽
1330
安嘉門院四條
靡くともほには出でじとしの薄忍びし中は霜がれにけり
1331
左兵衛督基氏
尋ぬべきしるしも今は跡絶えぬ雪のふる野の鵙の草ぐき
1332
前中納言定家
洞院攝政左大臣の家の百首の歌に、怨戀と云ふ事を
己のみ天のさか手をうつたへに降りしく木葉跡だにもなし
1333
御製
百首の歌めされしついでに、寄弓戀
今ぞ憂きかはる契のしらま弓なびきそめてし心よわさは
1334
中園入道前太政大臣
我に引く契なりともたのまれじ安達のまゆみあだし心は
1335
後堀河院民部卿典侍
光明峯寺入道前攝政の家の十首の歌合に同じ心を
人はいさあだちの眞弓おし返し心の末をいかゞたのまむ
1336
前大納言實教
文保の百首の歌奉りける時
猶いかに戀死なぬ身のつらからむ後の世契る人も有せば
1337
後深草院辨内侍
戀の歌の中に
戀死なばやすかりぬべき命さへ逢ふを限に年ぞ經にける
1338
後醍醐院少將内侍
文保の百首の歌に
變らじと思へばこそは契るらめ我かね言にいかゞ恨みむ
1339
讀人志らず
題志らず
いかばかり猶憂からまし僞のなき世にかはる契なりせば
1340
前中納言公修
契經年戀を
僞にかはるも知らで幾とせか契りしまゝの身を頼むらむ
1341
等持院贈左大臣
貞和の百首の歌奉りし時
言の葉の通はずなればいつはりと恨みし頃を又忍ぶかな
1342
空曉法師
題志らず
恨むべき人目のひまも幾度か數ならぬ身に過しきつらむ
1343
信實朝臣
文永二年四月後嵯峨院に奉りける三十首の歌の中に、恨戀
云へばげに我身のみこそうかりけれつらき人には言の葉もなし
1344
侍從爲親
龜山殿の千首の歌に
暫し唯云はでやみましつらさをも憂きをも知らぬ身とはなる共
1345
二品法親王寛尊
戀の心を
何と唯恨むるかひもなき中に言の葉をのみ盡しきぬらむ
1346
藤原長秀
ことの葉の移ろふだにも憂きなかに今は梢の秋風ぞ吹く
1347
藤原良尹朝臣
はゝそ原うつろふ色をつらしとも誰にいはたの杜の下露
1348
前關白左大臣近衛
言の葉のさきだつ袖の涙にぞ堪へぬ恨のほどは知るらむ
1349
前大納言經繼
正和五年九月十三夜後醍醐院みこの宮と申しける時五首のうためされけるに、月前恨戀
面影は我身にそへるつらさにて恨みぬ月に濡るゝ袖かな
1350
前大納言爲定
見ても猶もの思へとや憂き人の我が面影を月に添へけむ
1351
前中納言實前
澄む月の泪にくもる影までも思へば人のつらさなりけり
1352
中納言爲藤
人をこそ恨みはつとも面影の忘れぬ月をえやはいとはむ
1353
後京極前關白太政大臣家肥後
戀の歌とてよみ侍りける
恨みわびたへぬ泪にそぼちつゝ色變りゆく袖を見せばや
1354
修理大夫顯季
恨人戀の心を
言の葉を頼まざりせば厭ふ共人をつらしと思はざらまし
1355
今出河院近衛
題志らず
恨みても猶慕ふかな戀しさのつらさにまくる習なければ
1356
法皇御製
貞和の百首の歌めしけるついでに、戀の御歌とて詠ませ給うける
さてもまた怪しきまでの契かな恨みばかりを思出にして
1357
中園入道前太政大臣
あり果てぬならひはさぞと慰めて變る契を歎かずもがな
1358
前大納言公蔭
戀の歌の中に
かつしたふ心よわさは中々に恨みて何のかひかあるべき
1359
山階入道前左大臣
數ならぬ身の理になぐさめて憂きを恨みぬ程ぞ經にける
1360
源公信
變らじと契りし末を頼みける我がはかなさぞ今は悔しき
1361
前大納言爲世
文永七年八月十五夜、内裏の五首の歌に、恨戀
最ど猶憂きにつけてぞ思ふにも云ふにも餘る人のつらさは
1362
平親清女
戀の歌の中に
憂き事もいくよかあらむ吉野川よしや人をも今は恨みじ
1363
陽徳門院中將
我が袖に泪のたきぞ落ちまさる人のうき瀬を水上にして
1364
前大僧正禪助
寄枕戀
よしさらば泪に朽ちね中々にかたみもつらしつげのを枕
1365
後深草院少將内侍
題志らず
いつはりのなくて過ぎにし昔だに人の契を頼みやはせし
1366
伏見院御製
うかるべき身を知る上の戀しさは何にか暫し思ひ沈めむ
1367
二品法親王覺助
深山木のしたはふ葛の下紅葉うらむる色を知る人ぞなき
1368
藤原基隆
中務卿宗尊親王の家の百首の歌に、戀
知らせばや竹の籬にはふ葛の下に恨むるふしのしげさを
1369
平親清女妹
寄葛戀
秋かぜに玉まく葛のした露やうらみに堪へぬ涙なるらむ
1370
道智法師
今ぞ知る眞葛が原に吹く風のうらみも戀にかへる物とは
1371
覺空上人
題志らず
いかにせむ鴫の羽根掻かき絶えてとはれぬ數の積る恨を
1372
藤原忠兼
稀にだに逢ふ夜もあらば恨みまし枕の塵の積るつらさを
1373
前大納言爲家
白河殿の七百首の歌に、寄鬘戀
玉かづらいかに寐し夜の手枕につらき契のかけ離れけむ
1374
權大納言義詮
百首の歌奉りし時、寄衣戀
おのづから見しも契のかり衣恨むるかひや遂になからむ
1375
鷹司院帥
題志らず
今は唯恨むるまでは見えずともつらさを爭で思ひ知せむ
1376
和泉式部
恨めしき人の音せざりければ
その かみはいかに知りてか恨けむ憂きこそ長き命なり けれ
1377
源師光
文遣しける女の後には返事もせず侍りければ
つらかりし言の葉をなど恨けむ其をだにこそ聞かず成ぬれ
1378
讀人志らず
戀の歌の中に
つらしとて恨みは果てじまれにだに人の契のあらむ限は
1379
中務卿全仁親王
つらしとも恨みし程はさても猶人の名殘のある世なり けり
1380
後嵯峨院御製
忘れじの言の葉なくば中々にとはぬ月日を恨みざらまし